戦争を知らない子どもたち
2023-02-15
先日の仏教壮年会懇親会のことです。
4、5人のグループに分かれたある席での話です。
出席者の中で一番高齢者は誰か?
という話になりました。
大体が三佐で生まれた方で
小中学校の同級生や先輩後輩という関係で
お互いよく知っていますが
少し歳が離れたり結婚や仕事で三佐に移り住んだ方もいて
ということです。
最高齢者は昭和20年12月生まれの方でした。
「みんな戦争を知らない子どもたちですね」と
ふと声に出ました。
というのはその前の席の話で
何故かロシアのウクライナ侵攻の戦争の話になって
今もずっとウクライナはロシアの攻撃を受けて
空襲警報の止まない日がないという話からです。
市民はどこに逃げるのかということです。
ウクライナには大規模な地下壕や地下鉄構内があって
そこが防空壕になっているという報道です。
日本も78年前は太平洋戦争の戦時下にあって
全国の主要都市をはじめ各地で米軍の空襲に遭った歴史です。
ドラマでは地下に掘った防空壕に
近所の人が押し寄せるように逃げ込む映像を観ます。
私たちの三佐もまた空襲に遭って
親の世代の先人が防空壕に身を隠したことでしょうが
どこの防空壕かという話になって
前の席の人も後の人もみんな口を揃えるように
「地蔵山」と答えたのです。
皆さんもよく知っている横穴が掘られた小さな山ですが
三佐から2㎞以上の遠い所にあり
そんな遠くまで行けないという話になって
どうしたんだろうということです。
みんな戦争を知らない子どもたちで
実際に体験していないし知らないのです。
みんな自分が生きた時代のことでない
戦争を知らない子どもたちばかりです。
本当に身近な出来事で
私たちがこの世に生まれて今こうして生きているのも
戦時中を生き抜いてきた親がいて
そして先皆さんのご苦労があってのことです。
戦争の話を一つも聞いていない
知らないことばかりの私たちではないでしょうか。
今さら過去のことを聞いて何になる
それより今の脅威に対応できるような防衛力を配備して
核攻撃にも対処できる最新鋭のシェルターをつくろうなどと
戦争に備える声が聞こえてきそうです。
空襲におびえ早く戦争が終わってと思っても
決して口に出すことなく辛い生活に耐えてきた
先人たちの戦時下の生活を検証することで
戦争のない平和な世界であってほしいと
私にできることをさせていただくことこそ
「戦争を知らない子どもたち」のつとめだと思います。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2023.2.15)
「独りじゃない」
2023-02-14
トルコシリア大地震の死者が3万5千人を超えて
東日本大震災の死者行方不明者数を
上回ったという報道です。
東日本大震災では津波による被害が大きく
今回は崩れた建物の下敷きになった犠牲者が
殆どということです。
耐震基準に程遠い構造の建物が多く
一気に崩れ落ちるビルの映像は衝撃的です。
津波被害の映像もそうですが
この建物の中に多くの人がいて
少し前まで普段と変わらない生活をしていたことを想うと
火宅無常の世界に生きる儚さ虚しさです。
被災者が身を寄せる避難所も十分なものではなく
寒い屋外のテントで暖を取ることもままならず
食料をはじめ救援物資も届かない状況だといいます。
不条理なこの困難の中を
生きていかねばなりません。
互いにできることで助け合い支え合い
「独りじゃないことを力強く思う」との
被災者の声を聞きます。
隣に住んでいる人が誰かも知らない
自分中心の日暮らしの中で
思うようなことが自分で何一つできなくなったときに
声をかけ励ましてくれる人がいる
水や食べ物衣料などを届けてくれる人がいることの
頼もしさ有難さです。
普段日常の生活も自分一人で生きているのではなくて
この目に見えない多くのいのちに支えられ
生かされて生きていることに気づかせていただき
私にできる精いっぱいのことをさせていただきましょう。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2023.2.14)
御仏前で懇親会
2023-02-13
昨日は仏教壮年会の総会を本堂で行い
その後あんのん館で懇親会をしました。
コロナ禍でお寺の活動行事も中止
または内容を変更して行うなかでも
大人数での飲食はずっと控えてきました。
仏さまのご縁ではお斎(とき)といって
ご縁にお参りされた方々がご一緒に食事をします。
お寺のご縁も皆さんのお家のご法事のご縁も
御仏前に一堂が会していただきます。
食べることは生きることそのもので
欠かすことはできません。
コロナ禍で生活面での制限が色々言われましたが
それぞれに毎日食事をして生きてきました。
ただ家族で少人数で対面の食事は控えてなど
食事中も食べていない時はマスク着用が
指摘されたことです。
何かみんなで食事する妙味がなくなってしまう
それこそ味気ない食事の風景でした。
ワクチン接種や飲み薬もできて
感染者も大分落ち着ついてきて
いよいよコロナ後の社会の動向になってきました。
地域の身近な行事も
段々と再開されることが多くなりが
今回の懇親会も出欠は各自の判断にまかせて
開催することになりました。
お酒が入ります。
久しぶりのご縁です。
いつも会っているようで
互いに膝を交えて話をすることはありませんでした。
近況を聞くなかに
仏事の話にもなります。
ご本尊の阿弥陀さまを中心にした
御仏前の懇親会です。
お斎ということの有難さです。
御仏前で共に食事をし仏さまのご縁に遇って
仏さまのお話になります。
大いに懇親を深めたところで
「これからも円光寺を盛り上げていきましょう」と
閉会のことばがありました。
久しぶりに皆さんとゆっくりゆったりお話ができて
お寺を思うてご一緒くださる皆さんの
頼もしさ有難さをあらためて思いました。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2023.2.13)
如来の家のわれら念仏家族(2010年アーカイブ)
2023-02-12
私たち宗門の活動として
今キッズサンガということを
呼びかけて進めています。
キッズというのは子どもたち
サンガはお念仏の仲間集団ということです。
全てのお寺で子ども会のご縁づくりをと
具体的に活動を進めています。
子どもたちに仏さまのご縁を
つくっていこうということですが
うちのお寺のご門徒は高齢者ばかりで
子どもがいないのでできない
ということをよく聞きます。
広い意味で仏の子どもというのは
保育園や小中学校に通う子どもたちだけを
言うのではなくて
私たち大人も仏の子どもなのです。
阿弥陀さまとお釈迦さまを親さまとする
仏の子どもと聞かせていただきます。
今は家族のあり方が急速に変わってきました。
親と子の核家族が一般的になって
おじいちゃんおばあちゃんだけの家庭が増えてきました。
うちには子どもがいない孫がいないという
話になりますが
お寺全体ということでいうと
お寺のご縁つながりのなかには
おじいちゃんおばあちゃん
お父さんお母さん
子どもも孫もみんないます。
おじいちゃんおばあちゃんしか来たらいけませんよ
というお寺ではありません。
子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで
世代を超えてお念仏のみ教えを子や孫に伝えていく
そのお手伝いがキッズサンガの活動です。
おじいちゃんおばあちゃんには
おじいちゃんおばあちゃんの
お父さんお母さんにはお父さんお母さんの
お手伝いを互いにさせていただくなかに
自分に子どもがいるとかいないとかではなく
お念仏のみ教えを広く伝えていく取り組みです。
山門の掲示板に
「如来の家のわれら念仏家族」と
書かせていただきました。
お浄土の世界は如来の家です。
阿弥陀さまが私たちのためにつくってくださった
私たちが帰る家です。
そのお浄土はそのまま私たちのお寺であり
お寺参りがお浄土参りにつながるのです。
お寺は如来のお家です。
お寺参りの私たちはお念仏の家族です。
先人が届けてくださったお念仏を
一人でも多くの方に伝えていく
私にできるお手伝いを精いっぱいさせていただくという
キッズサンガの大きな願いです。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2010.2.12)
縁側で日向ぼっこ(2013年アーカイブ)
2023-02-11
今日は建国記念日の祝日で昨日から連休です。
お天気に恵まれて皆さんはどのようにお過ごしですか。
昨日は午前中法事があってお昼から家に居て
外より家の中の方が寒い感じでしたが
部屋の戸を開けて廊下のお縁に出たら
陽があたって暖かかったです。
縁側です。
家の内と外とを結ぶ縁(へり)です。
夏は外から風が入って涼しく
冬はお日さまの暖かさにほっとする
日本の住まいのすばらしい文化です。
広くご縁といいます。
人と人自他をつなぐご縁つながりです。
仏さまのご縁をいただきます。
私が私がと自分の世界に引きこもりうごめき迷う私に
仏さまが「小さな世界から広い大きな世界に出ておいで」と
喚んでくださる南無阿弥陀仏のおはたらきを
聞かせていただきます。
小さな自分の世界に閉じ籠っていたら
外の世界が見えなくて「ここが一番」と
腰を据え安心しているこの私ですが
外が見えずに不安な私でもあります。
阿弥陀仏は智慧と慈悲の光明のおはたらきで
私のありのままを知らせてくださり
そしてそのまま救い取ってくださるのです。
陽光に促されて縁側に出ます。
冬のお日さまの暖かさは格別で
日向ぼっこに安心して興じます。
お日さまの光を暖かくいっぱいいただくように
阿弥陀さまの明るい智慧とあたたかい慈悲の光明を
いっぱいいただいて
「私一人じゃなかった」と
大きな広い世界で多くのいのちに支えられて
今日一日を生かされて生きて往きましょう。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2013.2.11)