ボランティアの精神
2023-11-11
昨日に続いてボランティアのお話です。
11月23日の勤労感謝の祝日に
プロ野球日本シリーズを戦った阪神とオリックスが
それぞれ地元の大阪と神戸の2会場で二回
優勝パレードを行うそうです。
熱狂的なファンなど多くの市民が押しかけることが
予想され警備も大々的なものになると思われます。
その対策として大阪府大阪市・兵庫県神戸市の職員が
来場者の誘導案内に当たるということですが
大阪と神戸の対応で大きな違いが分かり
問題になっています。
オリックスはパリーグ三連覇で
去年も優勝パレードの経験があり
兵庫県神戸市はこれまで通り
職員の公務とするということですが
大阪府大阪市の対応は
職員にボランティアを募るということです。
大阪府と大阪市の職員でそれぞれ1500人
合わせて3000人のボランティアです。
「ボランティアの精神で自ら手を挙げていただくことで
強制ではなく交通費や手当の支給はない」といわれます。
これに対し職員組合は
「上司からのボランティアの通達は命令と同じであり
当然日常勤務のように手当を支給してほしい」といいます。
皆さんはどう思いますか?
見返りを求めない自主的な
ボランティアの精神からいうと
大阪府・市の見解はもっともなことのように聞こえますが
元々ボランティアは広く一般に呼びかけられるものであり
組織内での上司からの通達はそのまま要請命令に等しく
それに反した者への罰則までもが
想起されるようなことです。
何かボランティアということを隠れ蓑にした
狡猾な権力の乱用にも思えます。
世のため人のため国のためにと
権力者が部下を縛る構図です。
実際のところは
できるだけ経費を抑えたいとの
行政の長の思惑があることのようですが
ここでボランティアの精神を持ち出すのは
それこそボランティアの精神を蔑ろにしているように
思えて残念です。
関西あげてのまたとない祝賀パレードです。
運営する人も参加する人も皆さんが
個々にできることをさせていただいて
楽しく盛り上がればと思います。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2023.11.11)
さわやかにボランティア
2023-11-10
この前の日曜日に
市内の公園にウォーキングに出かけました。
朝まだ早い時間でそんなに人はいませんでしたが
海辺の公園で多くの人が利用される人気のスポットです。
ゴミ拾いをしている数人のグループを見かけました。
お揃いの服装で手ばさみと袋を持って
手際よく作業をしています。
一見ボランティアの方だなと気づきました。
本当に有難いことですが
自分の時間を割いて日曜日に遠くまで来てとなると
今の時代「何か良いことでもあるのかな」と
思ったりする人もいるのではないでしょうか。
何も見返りがないのにする意味がないとでも思う人の
ものの見方考え方が見え隠れします。
仏教では布施行といい
見返りを求めないことが原則です。
同じこの世に生きる者同士が
お互いに困ったときに助け合うことの尊さです。
私のすぐ傍で困っている人に
すっと私にできることを
させていただければよいのでしょうが
いろんな思いはからいが交錯して中々思い立てない私です。
お金や物で見返りを求めることは
ギブアンドテイクの相互扶助の論理で
一方的に奉仕するボランティアの精神に違います。
今は地震や豪雨災害の救援活動について
行政や民間でボランティアの支援システムができており
思い立って被災地に行って活動ができますが
交通費もそこでの食事も一切自己負担が原則です。
自らこの身を運んでそのまま帰るです。
ボランティアはあくまで自分にできることです。
どんな小さなことでもいいから
私にできることをさせていただく精神です。
仏教の布施行を学ぶ中で
「善いことをしたと思ったら忘れましょう」と
お話いただいたことを思い出します。
私たちは自分がしてあげた善いことは忘れないが
周りの人からしてもらった善いことはすぐ忘れます。
本当に自分の都合で生きているんだなと思いつつ
何度も何度もそんなことを繰り返している私です
「自利利他円満」は大乗仏教の菩薩の精神です。
「あなたが救われることで私が救われる」です。
あなたと私が共に本当につながりあって生きる世界こそ
南無阿弥陀仏のお念仏の世界です。
自他ともに心豊かに生きることのできる社会をめざして
今こここの私にできることをさせていただきましょう。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2023.11.10)
4年ぶりのお菓子作りです
2023-11-09
毎年11月にお寺の御正忌報恩講法要を
お勤めいたします。
親鸞聖人のご法事のご縁で
浄土真宗の最も大切な仏事です。
コロナ禍で昨年までの三年間は
御正忌ならではの仏さまのお供え物の
お飾りつきやお菓子作りをしていませんでしたが
今年は従来通りに行うということで
4年ぶりの復活です。
今日はお菓子作りをしました。
専用の粉と砂糖を水で調合して
三種類の型にはめて作ります。
昔ながらの落雁作りの要領です。
どのお寺も昔はそれぞれ手作りしていましたが
大変手間がかかる作業で
今は専門のお菓子屋さんに頼むお寺が増えてきたなかで
私たちのお寺では昔からの伝統を
そのまま受け継いできています。
仏教婦人会の役員さんが中心に行いますが
この3年間のブランクは大変大きく
役員さんが変わり今まで経験のない方が多くなりました。
そこはこれまで熟練の方々にお手伝いいただいて
今回はできたことですが
これからのことを考えると多少不安になります。
先日は静岡で山車の横転死亡事故があり
大きく報道されました。
4年ぶりの開催で山車の運行について経験者が少なく
基本的なことが周知徹底されていなかったといいます。
事業を伝承することの難しさです。
人から人へということですが
伝承するにも人がいないということでもあります。
コロナ禍を経て
これまでの事業や行事が大きく見直され
中止される事態になることを聞きます。
昔の通りにそのままできるということではなく
伝承の意味を踏まえつつ
今できることで一つ一つ一人一人に伝えていくことが
大切です。
浄土真宗門徒の心意気です。
今日のお菓子作りから始まって
お菓子の色付けそしてお飾りつきと続きます。
こうしたご門徒衆の手が入ったお供物がお内陣に飾られ
浄土の荘厳が鮮やかに整います。
御仏前に座り「まかせよ救う」の
南無阿弥陀仏のおはたらきにあって
そのままお念仏のお礼をさせていただきます。
すべてが阿弥陀さまのお手回しといただいて
親鸞さまはじめお念仏の先人のみ跡を慕いつつ
お念仏を申して私にできる精いっぱいの
ご報謝をさせていただきましょう。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2023.11.9)
秋の日のカフェで
2023-11-08
秋日和の一日
紅葉見物に出かけました。
小さな川に沿って散策していると
雑木林風の小道の先にカフェがあり立ち寄りました。
全面ガラス戸の向こうに木々が重なり合うように植わり
木漏れ日が差し込む中に秋の景観を楽しみます。
赤や黄に色づいた紅葉木があり
緑の木々とのコントラストが巧みです。
落葉が地面いっぱいに敷きつめられています。
掃除することなく敢えて自然のままにあって趣があります。
桜の葉です。
ひらひらと散っては何重にも重なってあります。
春は桜の花が艶やかに咲いて
また優雅に舞い散る様も想い起こします。
落葉はそのまま腐葉土となって
次のいのちをつなぐお役目をするのでしょうね。
小さな虫が飛んでいます。カエルもいます。
そこは小さないのちの楽園なんでしょうね。
お念仏のいのちの世界を思います。
南無阿弥陀仏の大きないのちのつながりのなかに
共々に生かされて生きている私たちです。
コーヒーとデザートのシンプルなカフェで
ぜいたくな時の流れに身をまかせて
心豊かな秋の一日になりました。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2023.11.8)
38年前の私を振り返ります
2023-11-07
プロ野球日本シリーズ第7戦で
阪神がオリックスに勝利し日本一になりました。
38年ぶり2度目のことです。
長い球団の歴史の中で優勝回数が少ない印象ですが
これが阪神タイガースというか
何度もあと一歩で優勝できなかったときも
負け続けるなかにも
熱狂的なファンに支えられて
このたびの日本一です。
同じ関西球団同士の対戦という話題性もあり
戦力も拮抗した中で1点をどう取りどう守るかと
選手起用の監督采配にも見応えがあって
好試合が続き
野球の面白さを楽しませていただいて
テレビの前に釘付けになりました。
38年ぶり優勝の余韻は球団選手関係者だけでなく
ファンの胸にも深く去来するものがあるようです。
38年前1985年昭和60年当時のことです。
まだ生まれていなかった人もいますが
どこでどうして生きていたか生活ぶりはどうだったか
それぞれの人生を
いろんなことを思い出すのではないでしょうか。
前回の日本一は何といってもバース掛布岡田の
強力打線によるところが大きかったと
誰もが認めることです。
甲子園の対巨人戦
三者連続バックスクリーンホームランは
その象徴的なものとして何度も映像で流れ
人びとの目に焼き付いて今も語り草になっています。
38年前の私を思い出すのも
このシーンに重なります。
ご本山での研修中で京都の宿舎で中継を観ました。
全国から集まった若いお坊さんが
ロビーのテレビを囲んで大歓声をあげていました。
私の人生を振り返るとき
この年は大きな節目になりました。
これまでの生活とは一変するほどに
新たな道を歩み出すスタートの年になりました。
私たちの人生の歩みは
良いも悪いも日々変化しつつ続いて行きます。
前を向いて未来に向かって生きるということですが
自分の思い通りに順調に行くときもあれば
大方は思い通りに行かないままに
日々繰り返しの生活に流されて
時間だけが経って行くってことはありませんか。
今回阪神の優勝で
38年前の私を振り返ります。
あの日あの頃何を思いどう生きていたのか
これからどう生きていこうとしていたのかです。
日々慌ただしく過ぎ行く中に
来た道を振り返ることって難しいですね。
自分のことで精いっぱい
今を生きることで精いっぱいの私です。
長い人生の道行きの中に
時には自分自身を振り返ることの大事です。
そうした忙しい私を振り返らせていただくご縁が
ご先祖有縁の方々のご法事仏さまのご縁です。
今年は父の25回忌にあたります。
自ずと24年前1999年平成11年の私を思い起こします。
周囲の方々とのつながりの中に生かされて生きてきて
そして24年経った今の私です。
一周忌三回忌七回忌
13、17回忌とご法事のご縁をいただく中で
年齢を重ねてまいります。
親子でいうと親の年にだんだん近づいてきて
ものの見方が変わってくるということでもあります。
特に大切な方の死は
遺った私たちにとって
大きな人生の再スタートのご縁でもあります。
ご法事で先に往かれた大切な仏さまが
「ここに座れ」と御仏前に私を誘い
「仏法を聞いてくれよ」とお坊さんのお取り次ぎで
仏法聴聞させていただき
「お念仏申す身になってくれよ」と促されて
お念仏を申させていただきます。
私のすぐ隣に有縁の皆さんがご一緒です。
同じ御仏前に座りお浄土の阿弥陀さまにお礼を申します。
この人生を共々に歩んできた方々です。
先に往かれた方を偲び自らのこれまでの歩みを振り返って
これからもあなたも私も共々に
お念仏を申してお浄土への道を歩ませていただく
人生の大きな節目のご縁をいただきましょう。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2023.11.7)