お遺骨の行方
昨日は本堂で満中陰のご法事のご縁をいただきました。
お勤めをし納骨堂にお遺骨を納骨した後のお話で、行く行くはお遺骨全部を別の墓地に改葬したいと相談を受けました。
お遺骨をみる人が他にいるとのことですが、遠方に住んでいてお墓はまだないということです。
その後もう一件別のご門徒さんから相談がありました。
遠方に住んでいた独り暮らしの親族が亡くなって納骨するお墓がなく三佐のお墓に納骨したいとのことです。
人が亡くなると火葬されてお遺骨が残ります。
身寄りのない方も形あるお遺骨は粗末にはできません。どこかに納めなければいけません。
納めるべきところに納めることで一つ気持ちが落ち着きます。
ちょっと前でしたら自分の遺骨の行く先はあれこれ考えることではなく決まっていたと思います。
しかし今は先祖代々のお家のお墓がある故郷を離れ生活する人が増え
生活する近くに新しくお墓を求めたいということもあって大きな悩みになっています。
その時に考えたらいいといっても結局困るのは後を見る人です。
子どもには迷惑をかけられないと夫婦で納骨堂の個人墓を求めたり、友人と一緒の共同墓を求めたり
永代供養墓や合葬墓、樹木葬、散骨などお遺骨の行方もさまざまです。
私の遺骨の始末です。元気なうちにやるべきことをしておくことが大事だと改めて思います。
私のいのちのあり方を思います。この世に生まれて生きて死んでいくいのちです。
この命いつか必ず終えていくことは本当のことです。
誰もが知っている明白なことですが、自分のことと聞きたくない思いたくない
生きることに精いっぱいの私がいます。
仏法は生と死と分けて見ないで生死(しょうじ)のいのちと見ます。
生死のいのちに向き合わせていただけるのが仏法の場仏さまのご縁です。
仏さまのみ教えに聞かせていただきます。
私たちのいのちは死んだら終いのいのちではなく
南無阿弥陀仏のおはたらき一つで阿弥陀さまのお浄土に生まれ仏さまに成らせていただくいのちと聞かせていただきます。
私たちのご先祖もまた阿弥陀さまの本願力、南無阿弥陀仏「必ず救うまかせよ」のおはたらきで仏さまに成って
私たちを仏さまのご縁に導いてくださっていると聞かせていただきます。
目に見えるお遺骨の行方は様々ですが、南無阿弥陀仏の大きな大きないのちのつながりのなかに
私も先に往かれた方々も生かされてあるのです。
ただただ仏さまのご縁をいただきましょう。仏法聴聞してお念仏申す身にさせていただきましょう。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2018.11.12)

仏法聞くとは食べることなり
朝夕は暗くなり寒くなってきましたが、日中はまだ温かいですね。
今年の冬は暖冬だという予報も出ているようです。
こうして毎朝この時間にお朝事のご縁をいただきます。
日々さまざまに移り変わり行くなかに一つのことを続けてさせていただく、生活の中心ができるといただきます。
今月のことばは「仏法聞くとは 食べることなり 念仏申す身に してくださる」です。
仏事をお勤めし仏法聴聞させていただくご縁を食べることに譬えて味わわせていただきます。
今日も皆さんこれからお家に帰って朝ごはんを食べますね。
一日三食、規則正しく食べていますか。規則正しい食事は私たちの生活をリズム良く整えてくれます。
そして食事をすることでこの身をつくりこの命を保ってくださいます。
食べることは生きることの一丁目一番地です。
何か当たり前のように日々食事をしている私たちですが
食べることができるということは本当に大事なそして有難いことです。
仏法聴聞も有難いことなのです。
仏法聞くとは食べることだと味わいなさいと先人の教えです。
仏法聞くとは食べることのように覚えなくてもいい、貯めなくてもいいというのです。
何日か前の夕食何を食べたか覚えていますか。
覚えていなくても栄養分はしっかりこの身に付いています。
食べたものを貯めていたら病気になってしまいます。
心配いりません。体のはたらきで老廃物は自然と外に出してくれます。
仏法を聞くことも頭で覚えようとしなくてもノートにメモして貯めておかなくても
大事なことはそのまま身についてくださるということです。
阿弥陀如来の本願念仏のご法義でいえば、南無阿弥陀仏を聞かせていただくところに
南無阿弥陀仏のおはたらき一つで南無阿弥陀仏が身について
南無阿弥陀仏と私の口からお念仏が出てくださるということです。
食べることは覚えなくても貯めなくてもよいのですが、しかし欠かしてはいけません。
食べることを欠かしたら死んでしまうように、仏法聴聞を欠かしたら死ぬというのです。
仏さまのみ教えを聞かないとお念仏申す身になることなくこの人生を空しく過ごし
命終わってまた迷いの境界を繰り返すというのです。
逆に言うと私たちは仏法を聞くためにこの人間界に生まれ来て生きているとの教えです。
仏法聴聞してくれよお念仏申す身になってくれよと諸仏方がお勧めです。
そのこと一つ心に入れてこのお朝事のお勤めです。日々仏法聴聞してお念仏申す生活をさせていただきましょう。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2018.11.10)

お仏飯のお供えが難しいのですが……
昨日はじめてのご縁でご門徒になったお家にお仏壇を申される入仏式のお勤めをさせていただきました。
そのお家はおばあちゃん一人の生活になってお仏壇のお給仕はおばあちゃんの役目になります。
お勤めの後で「お仏飯は奥にお供えしないといけませんか」と別所帯の奥さんから質問がありました。
この本堂のお内陣のお荘厳のようにお仏飯は阿弥陀さま、親鸞さま、蓮如さまの前にそれぞれお供えします
これは基本ですということをまずお話しました。
この質問が出たのは、おばあちゃんがお仏飯をお仏壇の奥の御三方の前にお供えするのが難しいということなのです。
仏壇屋さんから奥にお供えしやすいお道具をいただいているとのことですが、それを使うのもおぼつかないというのです。
それでこう言いました。
朝ご飯を炊いたときは一番にお仏飯を仏さまにお供えしてください
お供えすることについては奥の所定の位置ではなくてもすぐ手の届く近い所にお供えして
お灯明をつけお線香を炊いて合掌して御礼をしたらすぐ下げていいですよと
ただご法事やお彼岸とかの仏事、お正月など節目の時には決められたようにお荘厳してくださいと付け加えました。
正しいお飾りがなおざりになると座っている私の方にロウソク立てや香炉が下りてくるというお話です。
お仏壇のお荘厳にはすべて意味があります。
ご本尊の阿弥陀如来さまを中心としたお浄土のさとりの世界に
この私が救われていくという如来の本願念仏のお救いの法がそのまま形となって表されているということで
お荘厳一つでも大事に正確にしてくださいと申したことです。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2018.11.7)

仏壇仕舞いのご縁です
昨日仏壇仕舞いのお勤めと仏さまをお迎えする入仏法要をお勤めしました。
仏壇仕舞いのお家はもう三十年も留守のお家でご縁の方が年に一度東京から帰ってみえて
昨日久しぶりにお参りしましたが、家の中も家の周囲もよく片付いていました。
ただお家はずっとそのままでお仏壇をご安置されていたのです。
このたび事情があって家を壊すということで仏壇じまいのご縁になったということです。
御礼のお勤めといいます。
皆さんのお家もそうですが、お仏壇といってまん真中にご安置の御本尊の阿弥陀さまのお家です。
阿弥陀さまをお家の中心にいただき仏さまの大きな大きなご恩のなかに私たちは生かされて日暮しさせていただくのです。
南無阿弥陀仏のおはたらき一つでこの人生を生き抜き命終わって阿弥陀さまのお浄土に生まれさせていただき
仏さまに成らせていただく大きなご恩です。
私たちのこの目に見える形でお仏壇の阿弥陀さま親鸞さま蓮如さまのご縁をいただいているということです。
今日こうしてお朝事にお参りの皆さんにこんなお話をしても的外れですが
お家にお仏壇があっても日々の生活のなかで仏さまにお参りし御礼ができることは中々難しいことです。
まさに仏さまに背中を向けているような日暮しをしている私たちをそのまんま
この阿弥陀仏さまはいつも見てござる、見守ってござる、守られてあるということです。
阿弥陀さまのご縁をいただいてそのことに気づいてくれよ
み教えを聞いてお念仏を申す身になってくれよという仏さまのご縁です。
お家の中心にあって私たちを護ってくださった仏壇仕舞いのご縁と
これからもずっと私たちを護ってくださる仏さまをお迎えする入仏法要の尊いご縁をいただいたことです。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2018.11.5)

お寺に手伝いに来てください
ある老僧のお話です。
お寺にお参りしなさい、お参りしましょう、お参りしませんかと呼びかけても中々お寺にお参りしてくれないが
今度お寺でこういうことをするから手伝いに来てくれないかと声かけするとお参りしてくれるというお話です。
ご門徒衆に今度の報恩講などいろんな法要行事の案内をさせていただきますが
お参りする方は大体決まっています。
皆さんお寺からの案内をどう受け取っているのか想像します。
またお寺からの案内かと文章を読むことさえせず、文面は日時や講師が変わるだけでいつもあまり変わりませんが
それこそ右から左へそのままゴミ箱に直行ということもあるかもしれません。
お寺からの案内ですが、そのまま阿弥陀さま親鸞さまからのお手紙といただいてほしいと思いますし
これからも何度も何度も厭きることなくご案内させていただきたいと思います。
ただお寺に手伝いに来てほしいと直接声かけできる人間関係、日頃からのご門徒さんとのつながりができたらと
老僧のお話を聞きながら思ったことです。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2018.11.4)
