「服装に関係なく」 ※転載
2024-01-06
お寺にお参りするのに、どんな服装がいいのか
友人同士でちょっとした論争がありました。
「おまえ、それは少しラフ過ぎるだろう」
その一言がきっかけでした。
別にネクタイをしろとは言わないが
身だしなみだけはちゃんとしていかないと失礼だと
そう指摘されると
それがカチンときたのか
「仏さんにお参りするのに
服装がどうのとか気にするほうが失礼だ」と
言い返したのです。
そう言えば、昔、妙好人(みょうこうにん)として知られる
讃岐の庄松(しょうま)さんは
本堂でゴロリと寝ころんでいるのを咎められると
「親の家だから遠慮はいらない」と
意に介さないでいたという話があります。
阿弥陀さまを
親さまとして全面的に信頼しきっている
庄松さんにとっては
親の前で遠慮するほうがおかしい
ということなのでしょう。
その点で言えば
確かに服装がどうのとか気にすることは
仏さまに失礼だということになります。
しかし、尊い親さまである
阿弥陀さまがいらっしゃる
御堂にお参りするのだからこそ
きちんと身なりを整えようという心も
これまた素晴らしいのです。
要するに、どちらも間違いではなく
両方共に、それぞれが仏さまやお寺を
敬っておられる姿なのです。
それに何より、お二人共、お寺にお参りすることを
喜びにされているのがありがたいです。
アンケートによると
お寺は敷居が高いと思われがちですが
親の家です。
服装に関係なく、遠慮なしにお参りください。
※菅純和著「仏事の小箱」
『御堂さん』2024年1月号より
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2024.1.6)
「大丈夫!」
2024-01-05
能登半島地震の被災報道が続く中に
2日夕方航空機の衝突事故のニュースが
飛び込んできました。
東京羽田空港の滑走路で
日本航空機と海上保安庁機が衝突炎上し
海上機の乗員5名が死亡
日航機の乗員乗客379名は全員脱出して
無事だったということです。
事故原因等の詳細は
今後国の専門機関で検証されるということですが
今はスマホで現場撮影されたものがたくさんあって
日航機の着陸衝突から脱出までの18分間の機内の様子を
そのまま観ることができます。
窓越しに炎が大きく上がり機内に煙が入ってきて
「死を覚悟した」と多くの乗客が証言するように
不安と恐怖で大パニックの状況だったと思います。
起こってはならない事態です。
飛行機に搭乗すると離陸前に必ず
緊急事態の対応について説明がありますが
こんなことって起こるはずがないと
高をくくっているのが私たちではないでしょうか。
しかし今回のように起こりうる事態で
乗務員には緊急時に備えた
訓練が日頃から為されているということです。
乗客への乗務員の対応です。
「大丈夫です。落ち着いてください」
「頭を下げて、口や鼻を覆ってください」
という乗務員の大きな声が聞こえます。
誰もが早く飛行機から脱出したいと思います。
「早く出して」という声も聞こえるなかで
「大丈夫!乗務員の言う通りにしよう」と
乗客の声です。
脱出するにも火の手が上がっていない出口からでないと
機内に火が一気に入ってきて
瞬く間に炎上してしまう危険もあるのです。
しばらくして開かれた非常口からシューターで
乗客が次々と脱出できたということです。
現場の責任者の指示に従うまかせることの鉄則です。
逆に乗客が自分勝手な行動をとっていたら
どうなっていたでしょう。
「荷物を持たないで!」と
乗務員の声が重なります。
狭い通路を人や物が塞ぐことで脱出の妨げになります。
この身このままでいいのです。
そのことで私一人ではなくみんなが助かるのです。
お念仏のご法義に重ねて思います。
阿弥陀さまの「われにまかせよ。必ず救う」
南無阿弥陀仏の仰せにそのまままかせたらいいのです。
何も持たずにです。
阿弥陀さまのお救いには条件一つありません。
地位や名誉や財産も必要ありません。
いや邪魔になるものばかりです。
この身このまま阿弥陀さまの仰せに信順して
「この道を来い」と喚ばれるままに
往生浄土の道を歩ませていただけるのです。
私一人ではありません。
私の前に隣にそして後ろに
お念仏のお同行がみんな一緒です。
機長が機内に残った人がいないことを確認して
最後に脱出したといいます。
日頃からの訓練です。
日頃からお念仏のご法義を聞いておきましょう。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2023.1.5)
いつもの日常のはじまり
2024-01-04
正月三が日が過ぎて
今日から仕事始めの方も多いのではないでしょうか。
御屠蘇気分から普段の日常へと
いつもの生活が始まります。
5時過ぎに起きてテレビをつけます。
朝の情報番組が始まって
いつもの朝のキャスターがいます。
新聞を手にして
ボチボチ朝の準備にかかります。
6時の梵鐘が鳴ります。
一気にスイッチが入ります。
6時半から本堂でお朝事のお勤めです。
お参りの皆さんに「おはようございます」と挨拶して
今日の一日のスタートです。
何かいつも同じことの繰り返しのようですが
その日その日で気分が違います。
今日のいのちをいただいて
心新たに今日の一日が始まる有難さを思います。
能登半島地震が発生して4日目です。
被害状況が明らかになるにつれ
大変な困難の中にある
被災者の方々のことを思います。
当たり前のような日常にあって
生きることの一大事です。
南無阿弥陀仏の大きないのちのつながりの中に
共々にお念仏申して
今日一日も生かされて生きてまいりましょう。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2024.1.4)
お念仏の声かけ
2024-01-03
正月恒例の「箱根駅伝」が終わって
青山学院大学が優勝しました。
ずっとテレビ観戦するなかで
監督の声かけに注目しました。
箱根駅伝独特なもので
選手に伴走する監督車から
監督の声が届きます。
ペース配分などの戦術の指示だったり
「ガンバレ」といった叱咤激励のものです。
それぞれの監督で独特な言葉表現で
状況に応じて選手を鼓舞します。
興味深かったのは
20㎞余りの長距離レースを終えた選手に
「よく頑張った」とともに
「お疲れさま」「ありがとう」の
声かけがあったことです。
倒れ込むようにゴールして
仲間に抱きかかえられる選手が多い中で
監督車に一礼する選手もいました。
厳しい練習の中にも
監督と選手の日頃からのつながりが垣間見えて
微笑ましかったです。
能登半島地震発生から3日目です。
崩壊した木造家屋の前で
「おーい頑張れ」と何度も何度も
住民が大きな声をかけています。
家人が逃げ遅れて家屋の下敷きになり
修出活動もままならず
どうすることもできない状況で
「おーい頑張れ」の声かけです。
聞こえているかどうかわかりませんが
必死の声かけです。
阿弥陀さまは「私がいるよ。大丈夫だよ」と
お念仏の声かけです。
南無阿弥陀仏のいわれを聞いてくれよ
「われにまかせよ。必ず救う」と
いつでもどこでも誰にでも
どんな状況にあっても喚び続けてくださっています。
声をかけていただくところに
あなたがいます。
私のことをいつも心配してくれる
あなたがいることで
私は今日も生きて往けるのです。
「ようこそ あなたと ナモアミダブツ」
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2024.1.3)
人生は筋書きのないドラマ?
2024-01-02
お正月の元旦は
子どもたちはお年玉をもらったり
家族親族旧友が久しぶりに再会して
穏やかに楽しく過ごす特別な日と
当たり前に思っていました。
石川県能登地方で震度7の大地震です。
テレビは直後から震災関連の報道番組に切り替えて
正月特番を楽しみにしていた人も多かったと思いますが
NHKは終日ずっと放送を続けています。
何でよりによってこの元旦の日にといっても
いつどこでどんなことがこの身に起こるのか分からない
諸行無常の仏法の理です。
ある人は「人生は筋書きのないドラマ」と言われます。
確かにこの私の人生を振り返っても
こうしてこうしてこうなるという筋書きがあって
その通りに生きてきたわけではありません。
自分にとって思い通りになることもならないことも
様々に色々あって
私の都合に良くも悪くも
この私の人生だったということです。
縁起の仏法を聞かせていただきます。
すべての事象には原因があり
幾多の条件が縁り合って起こるということで
自分一人の力でどうこうなることではないのです。
思い通りにならない「まさか」の展開も
悲しく悔しいけれども
その結果を我が事として引き受けていかねばなりません。
阿弥陀如来はこの混迷の世界に苦悩する私たちを
南無阿弥陀仏のおはたらきでそのまま救うと
いつでもどこでも私たちに寄り添いご一緒です。
私たちは南無阿弥陀仏の大きないのちのつながりの中に
あなたも私も共々に生かされて
どんなことがあっても今こここの私を生きていけるのです。
お念仏申して南無阿弥陀仏のいのちの物語を
聞かせていただきましょう。
※『ようこそ月報』第4号/2024年1月号より
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2024.1.2)