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お念仏を申す生活法話

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平生いつもの阿弥陀さまのお浄土のお荘厳が有難いです

2020-07-15
 東海道中第22宿目は静岡の藤枝の宿です。
藤枝というとサッカーが有名です。
 日常折にふれて耳になじみの名所を聞くと
日本全国を旅する楽しみがまたわいてきます。
 
 昨日は本堂でご門徒のお葬式をお勤めしました。
お寺でのお葬儀で阿弥陀さまのお浄土のお荘厳を思います。
 今は葬儀社で行う葬儀が一般的で
お花でいっぱいに飾られた葬儀社の荘厳壇に比べると
お寺のお荘厳はいたってシンプルです。
 
 シンプルといって簡略ということではありません。
お寺の本堂のお荘厳はご本尊の阿弥陀如来を中心とした
阿弥陀さまのお浄土をあらわすものであり
お葬儀のご縁もそのままのお荘厳で
特に飾り立てることではありません。
 
 阿弥陀さまのお浄土は人の命終えて
お念仏申して往き生まれる
私たちのいのちの古里と聞かせていただきます。
 浄土真宗の門徒にとって
日常ご縁のあるお寺の本堂でのお葬儀は
これ以上ないシンプルにしてベストの
阿弥陀さまのお浄土のお荘厳のなかで勤まることなのです。
 
 お葬儀のご縁は非日常です。
たびたび何度もあるご縁ではありません。
その人人にとっては一度っきりのご縁です。
 
 浄土真宗のご法義をいただきますと
蓮如上人は平生業成(へいぜいごうじょう)とよくいわれて
平生に阿弥陀さまのご本願を信じお念仏申す身になって
命終えて阿弥陀さまのお浄土に往生し仏さまと成ることが
すでに約束されているとご教示くださっています。
 
 ただ今日常のお念仏申す生活です。
お念仏申す日常の中で大切な人と別れるご縁に遇うのです。
 死の縁無量でいつどこでどんなかたちかわかりませんが
南無阿弥陀仏のおはたらきにおまかせして
お念仏申す身のままにお浄土に生まれて
仏に成らせていただけるのです。
 お念仏申す生活のままに
お浄土への人生を歩ませていただけるのです。
 
 お念仏申す私たちの日常です。
このお朝事のご縁はお念仏申す日々の生活の始まりです。
 
 阿弥陀さまの御仏前お浄土のお荘厳の前に
この身を置かせていただきます。
 南無阿弥陀仏のおはたらき一つで救われて
阿弥陀さまのお浄土に生まれて仏にさせていただけると
平生からお聴聞させていただきます。
 
 そのままのお救いですから
日常普段のシンプルなお荘厳でいいのです。
 お葬儀のご縁だからと
特別にこうしなければならないということはありません。
 これまでお育ていただいた
お寺の阿弥陀さまお家の阿弥陀さまを中心に
仏さまのご縁に遇わせていただき
ていねいにお勤めさせていただくことが肝要です。
 
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2020.7.15)

大切な人とお別れする悲しみのご縁をそのまま仏さまのご縁といただきます

2020-07-14
 東海道第21宿は岡部の宿です。
広重の浮世絵には宇津の山が描かれています。
 山と山が迫りくる細い山道峠の道です。
杉木立のなかを歩いて行きます。
 険しい山道を踏み分けて山坂越えて行く道は
思い通りにならない人生の道のようです。
 
 昨日あんのん館でお通夜のご縁があり
今日は本堂でお葬儀のお勤めです。
 30人ほどの方がお通夜にお参りでした。
聖典をお配りしご一緒にお正信偈のお勤めができました。
 
 本当に有り難いご縁だと思います。
お葬儀のご縁で有難いなどと
変なことを言うようですが本当に有り難いです。
 お通夜は最後の夜を有縁の皆さんとお話をするご縁です。
人の命はすでに終えていますが姿かたちはそのまんまです。
昨日もご遺族がお泊りでしたが添い寝をして過ごす夜です。
 
 今日はお葬儀で葬送です。
阿弥陀さまのお浄土に送らせていただきます。
 送る方も送られる方も往くところが分かっているから
「往ってきます」「往ってらっしゃい」と見送れるのです。
 
 火葬されてお遺骨となって還って来ます。
還骨勤行といって本堂の阿弥陀さまのそばに
お遺骨をご安置してお勤めをします。
 
 お浄土の仏さまに成ってくださって
49日間の中陰のお勤めが始まります。
 仏法を聞いてお念仏申す身になっておくれとの
仏さまの願いのなかに仏さまのご縁をいただきます。
 
 人の命は終えますが仏さまのいのちに生まれて
南無阿弥陀仏のおはたらきとなって
これからずっと私に寄り添い
ご一緒くださると仏法聴聞させていただきます。
 
 大切な人とお別れする悲しみのご縁をそのまま
仏さまのご縁といただける有難さです。
 
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2020.7.14)

名物にうまいものなし

2020-07-13
 東海道中第20宿目は静岡の鞠子(まりこ)の宿です。
広重の浮世絵に名物茶屋と題した茶屋の絵があります。
 この鞠子は昨日の府中から明日の岡部に抜ける
山中にある53次で一番小さい宿場です。
 
 その名物はとろろ汁だそうです。
松尾芭蕉も鞠子の宿の名物とろろ汁と歌に詠んでおり
東海道中膝栗毛にもとろろ汁のことが書かれています。
 今もその茶屋が残っていて丁子の茶屋というそうです。
江戸時代に入る前からの400年以上前の創業といいます。
 歌川広重の浮世絵の話をしていますが
浮世絵は1832年頃に書かれたものといわれており
丁子の茶屋はその200年以上前からあったということです。
 
 だから名物なのです。
名物って長い長い歴史があって人人の言い伝えによって
あそこに行ったらこんな名物があると言われるものです。
 昨日の安倍川もちがそうです。
土地土地の名物にあうことの旅の楽しみです。
 
 一方で名物にうまいものなしという言葉があります。
やっとの思いで名物を食べてみたらそうでもなかったと
期待していただけに期待外れということにもなります。
うちで作ったものの方がおいしいなどと言い出す始末です。
 
 えてしてそういうものでして
私たちは遠く外を見て何か良いものを探そうとしますが
近くのすぐ足元に探し物があるってことです。
 
 私たちの日常です。
私たちが日々いただくわが家の食事に名物があるのです。
 旅に出てみて初めてわが家の良さを知るということです。
一生に一度食べるものではなくて毎日の食事です。
ただこれも何か当たり前のように食べている私たちです。
 
 それこそ後から思うのです。
おふくろの味が懐かしいと思い出すのです。
 わが子の成長を願い作ってくれた母の食事です。
身体ばかりでなく心も心身ともに育てられてきたのです。
 
 お念仏のお育てをいただくといわれます。
お念仏の味です。
私たちのお念仏の味は南無阿弥陀仏のお心一味です。
 名をもって物に接すると
いつでもどこでも南無阿弥陀仏のおはたらきは
この私に寄り添いご一緒くださっているのです。
 
 お念仏の名物の味です。
お念仏を申しお念仏のお心を聞かせていただくなかに
今日の一日もお浄土へのお念仏の旅を
ご一緒させていただきましょう。
 
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2020.7.13)

静岡名物安倍川餅

2020-07-12
 毎朝ご和讃を53日間で一通り繰り読みしています。
東海道53次になぞらえて東海道を53日間
お念仏の旅をしているというお話です。
 
 今日は第19宿目の府中の宿です。
府中の府は駿府城の府です.
 今の行政区でいいますと静岡市の葵区で
駿府城の真近静岡市の町中です。
 
 歌川広重の浮世絵にはこの府中の宿の絵に
町中を流れる安倍川が出てきます。
 皆さん静岡安倍川といったら何を連想しますか。
静岡名物の安倍川もちです。
 安倍川もちはつきたてのお餅に
黄な粉をまぶして白砂糖をふりかけます。
 
 駿府城の城主徳川家康が好んで食べたという由来です。
矢次さん喜多さんの東海道中膝栗毛にもこのお餅が
紹介されているということです。
 
 旅の道中甘い物は疲れをいやしてくれるものであり
所々の名物を食べるのも旅の大きな楽しみです。
 
 今は第19宿ですから53次までまだ34宿あります。
34日間のお念仏の旅でご和讃を繰り読みしていきます。
 皆さんもお念仏の旅をご一緒させていただきましょう。
 
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2020.7.12)

大自然のいのちの営みの中に生きる

2020-07-11
 東海道五十三次今日は第18宿の江尻の宿です。
広重の絵には三保の遠望と清水湊の説明があります。
 江尻の宿は今の静岡市清水区にあり
次郎長一家でおなじみの清水湊と三保の松原が有名です。
 日本三大松原といって佐賀県唐津市の虹ノ松原
福井県敦賀市の気比の松原そして三保の松原です。
 
 富士山を背景にした絶景はたくさんありますが
三保の松原から見る富士は代表的な一つで
皆さんも写真などで見たことがあると思います。
 
 白砂清松といって海岸線に白い砂と青い松林が広がり
海の青空の青と相まって白い雪を頂いた富士山をバックに
これ以上ない風光明媚なところで
三保の松原の天女の羽衣伝説も生まれたと思われます。
 
 松林は私たちの三佐にも臨海工場地帯になる前にあって
遠浅の海に沿うように松林が広がり海水浴をしたり
貝ほりや冬には海苔をとったりと絶好の漁場でした。
 
 松林には大事な役目があります。
海からの強い風を防ぐ防風林と防砂林の役目です。
 砂浜の砂が実は厄介なのです。
風が砂を吹き上げ家屋や畑に運んで生活を脅かすのです。
 
 先人の知恵を思います。
海岸線に自然に松林が生えていたというより
先人が風や砂に強い松を海岸線に植えていったことです。
 
 私たちは美しい松林や砂浜にすぐ目がいきますが
大自然のいのちの営みの中に生きてきたご苦労を思います。
 今は自然の営みに抗うように人間様が手を突っ込んで
豪雨災害を引き起こす地球温暖化の要因をつくったりと
このからの地球の行く末が本当に心配です。
 
 南無阿弥陀仏のいのちの営みおはたらきです。
南無阿弥陀仏のいのちのつながりのなかに人間だけでなく
十方衆生生きとし生けるもの全てが生かされてあるのです。
 松の木も砂も海も山も空もそして人間も
全てがお互いに共存共生していくお念仏の世界を思います。
 
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2020.7.11)
円光寺
〒870-0108
大分県大分市三佐3丁目15番18号
TEL.097-527-6916
FAX.097-527-6949
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