「たまたま行信を獲ば、遠く宿縁を慶べ」
2021-03-30
作家の吉川英治さんをご存知でしょうか。
長編『宮本武蔵』を世に出した作家として有名ですが
浄土真宗にも深くご縁がある方で
宗祖親鸞聖人のご生涯を描かれた『親鸞』を著作し
中村錦之助主演で映画にもなっています。
私が小学生のとき「親鸞聖人七百回大遠忌法要」が
お勤まりになった頃のことです。
親鸞さまの90年の波乱万丈のご生涯のなかでも
青年親鸞に焦点をあてられたものでした。
比叡山で9歳から29歳まで20年間
厳しい仏道修行をされます。
血気盛んな青年期です。
いろいろと思い悩む時でもあります。
そのなかで人間親鸞が「生死いずべき道」を
仏法に求めていくのです。
その先はといいますと
比叡山を下りて法然聖人と出遇い
「念仏一つで救われる」専修念仏のみ教えに遇われて
往生浄土の本願念仏の道を歩まれていかれます。
親鸞さまが私たちに説き開いてくだされた
浄土真宗のみ教えが八百年の時空を超えて
今この私のところに至り届けられているのです。
宿縁といいます。
私がこの世に生まれて何年という話ではありません。
私が生まれるずっと前から
遠い過去からのご縁があったというのです。
そして今ここ阿弥陀さまの御尊前に座らせていただき
お念仏を申す身にさせていただいたということです。
南無阿弥陀仏のご縁です。
阿弥陀さまがこの私をこそ必ず救うと
ご本願をおたてになり兆載永劫のご修行をされて
南無阿弥陀仏の仏さまに成ってくださったのです。
南無阿弥陀仏のご縁は
私がどうこうすることではありません。
宿世のご縁としか言いようがないと
親鸞さまは「たまたま行信を獲ば、遠く宿縁を慶べ」と
本願を信じ念仏申す身をよろこばれたのです。
南無阿弥陀仏のおはたらきがこの私に届けられて
南無阿弥陀仏とお念仏を申す身にさせていただくのです。
お念仏の声がそのまま私の周りの方々
子や孫の世代に届けられていく
お手伝いをさせていただきましょう。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2021.3.30)
大関照ノ富士復活
2021-03-29
朝がすっかり明るくなりました。
本堂の外灯も明日から切ろうと思います。
いよいよ春めいてまいります。
昨日までの雨も上がり外にお出かけしたい気分ですが
まだまだコロナ禍です。
十二分に注意しましょう。
昨日は大相撲の千秋楽で関脇照ノ富士が優勝し
大関再昇進を決めました。
照ノ富士は元大関で優勝経験もある実力者でしたが
膝の大けがと内臓疾患で番付最下位の序の口の一つ上
序二段まで落ちてそこからのカンバックです。
相撲界は番付がものを言う厳しい世界です。
大関から序二段まで8場所で落ちて
序二段から大関まで13場所かかっての復活劇です。
相撲界の人間関係も番付で大きく違うということで
精神的にもめげずにここまでやってこれたのは
周囲の誰もが認める力量もさることながら
「元の場所(大関)に戻りたい」と一心に堪えて
日々精進努力したことに尽きると言われます。
私たちの日々の生活にも通じることです。
私たちはこうありたいと思いをもって生きていますが
思いをもつだけでは願いを成就することはできません。
目標に向かって精進努力することが肝要です。
仏道修行も同じ道理ですが
理屈はわかっても
家に在って家庭をもち社会生活する私たちは
形ばかりの出家もできそうにありません。
自らの力をたよりに仏道を励むことが難しい私たちを
阿弥陀さまはもうすでに見抜かれて
法蔵菩薩という菩薩の位に下りて
仏に成るために52段位の菩薩の修行を始められたのです。
法蔵菩薩の願いは
十方衆生すべてのものを救いたいということで
この私を救うことができなかったら自らも仏に成らないと
私の成仏をかけた誓願でした。
浄土真宗のご法義は
法蔵菩薩が十方衆生を必ず救うと大きな願いを建てられ
はるか永い時間をかけて精進努力を重ね
阿弥陀仏になってくださった
南無阿弥陀仏のお救いの法なのです。
南無阿弥陀仏のお心を聞いてくれよといわれます。
この私を救うために
法蔵菩薩のご苦労があったということです。
南無阿弥陀仏のお念仏の声となって
凡夫のこの身にもうすでに至り届いてくださってある
有難さ尊さです。
今日一日もお念仏申して
阿弥陀さまのお慈悲に生かされて生きてまいりましょう。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2021.3.29)
円谷幸吉さんとサルビアの花と君原健二さんのいのちつながる
2021-03-28
オリンピックの聖火リレーは
昨日が三日目で福島県での最終日でした。
新聞にマラソンの君原健二さんが
聖火ランナーで走っている記事が載っていました。
君原さんって八幡製鉄北九州福岡の人じゃないのと
思いましたが記事を読んで納得しました。
赤いサルビアの鉢植えの花が
沿道にずっと並んでいるなかでの聖火リレーです。
57年前の前回の東京オリンピックのことです。
円谷幸吉さんというマラソンの選手がいて
あの時は円谷と寺沢そして君原が代表選手で走り
自国開催の五輪でメダルを当然のように期待されて
円谷選手が国立競技場の最終コーナーで
イギリスの選手に抜かれたものの
三位になり銅メダルを獲得したのです。
その円谷選手の出身地が福島ということで
前回福島の聖火リレーで高校生がサルビアの花をもって
声援を送ったことに因んで
今回のリレーになったといいます。
円谷選手は次のメキシコ大会の前に亡くなります。
その遺志をお兄さんが継いで
サルビアの花を家で育て墓前に供え続けたといいます。
そのことを地元の方はよく知っていて
今回福島での聖火リレーにサルビアの花を沿道に飾ろうと
会を立ち上げ行ったのが昨日の聖火リレーでした。
57年です。
人人の思いがつながるということです。
先日お念仏の花を咲かせて伝えていきましょうと
お念仏の聖火リレーのお話をしました。
声に出してお念仏申させていただきます。
心の中で思っていても中々お念仏申せません。
私たちの日常は自分のことで精いっぱい
生きることで精いっぱいですからね。
仏さまのご縁に遇うことの難しさです。
今じゃなくても歳をとって暇になったらと
先送りする思いも出てきます。
御仏前です。
今この身を御仏前に座らせていただく有難さです。
御仏前に座って手が合わさり
この口から南無阿弥陀仏のお念仏の声がでてくださいます。
南無阿弥陀仏ははるか遠い昔から
この私を必ず救うとおはたらきくださっている
阿弥陀さまのお喚び声です。
そのお念仏の声を私たちのご先祖有縁の方々が
届け伝えてくださって今ここにお念仏申す私があるのです。
57年どころではありません。
大きな大きな南無阿弥陀仏のいのちのつながりのなかに
先に往かれた方も後に遺った方々も共に
阿弥陀さまのお慈悲の中に生かされてあることを思います。
聖火リレーに一人一人の人生がありドラマがあると
また深く味わわせていただきます。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2021.3.28)
幾千万年の遥かな時空を超えて確かに確かにこの身にお念仏が届けられています
2021-03-27
球春到来です。
昨日プロ野球が開幕しました。
去年はコロナ感染防止ということで
開幕が6月に延びそれも無観客でのことでした。
今年は元のようにとまではいきませんが
感染対策に十分配慮していつもの春に始まりました。
茶の間でテレビ観戦している私たちには
いつもの光景のように思えます。
今朝の新聞のスポーツ面が賑やかに花盛りです。
昨日はサッカーの国際試合の中継もありました。
大相撲そして明豊がベスト8を決めた高校野球です。
フィギュアスケートの世界選手権もあっています。
このコロナ禍でリモートという言葉を
よく聞くようになりましたが
テレビはまさにリモートです。
遠く離れた球場や競技場に実際に居るわけではなく
いつものようにテレビ観戦できることが
普段の当たり前の生活になっていることを改めて思います。
ただ一方通行の発信を私たちは受信するだけで
テレビではお互いの意思疎通はできません。
それが今はパソコンやスマホのインターネットで
映像とともに会話がライブで互いにできるのです。
本当に便利な世の中になりました。
コロナ禍で人と接触することなく
仕事も勉強もリモートでできるということです。
ただ人と人との個人的な通信手段であって
実際に顔と顔を合わせてできることで
不足することもでてきます。
私たちの人間社会は人と人とが織りなす
人間関係でできています。
人と人私とあなたの関係です。
あなたから私へ私からあなたへと
その関係が広がっていきます。
私たちのお念仏のみ教えも人から人へと
伝え届けられてきたものです。
南無阿弥陀仏のつながりです。
大本は阿弥陀さまです。
阿弥陀さまのご本願のお心おはたらきが
南無阿弥陀仏となって
幾千万年の時空を超えてご先祖有縁の人から人へと
そしてこの私に届けられたという
阿弥陀さまからのリモートです。
テレビで野球の試合を観て
球場にいるような臨場感を覚えます。
同じようにナンマンダブツとお念仏を申すなかに
阿弥陀さまのお浄土に往き生まれるお念仏の道を
確かに確かに歩ませていただく有難さを思います。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2021.3.27)
私たちはお念仏の聖火ランナーです
2021-03-26
昨日から東京五輪の聖火リレーが
福島から始まりました。
復興五輪といわれます。
コロナ禍で一年延期になって
東日本大震災から10年の大きな節目になりました。
福島は東電の原発事故で今も帰還禁止区域があり
古里のわが家で生活することがかなわない人が
たくさんいらっしゃいます。
ある方は10年前の地震と津波の被害が残るお家で
新しい駅舎ができたりして町は復興しているようだが
光と影があると言っていました。
聖火リレーは新しい街並みを走ります。
光の部分です。
この日に合わせて多くの人が懐かしい古里に
帰って来て聖火リレーを見守ったといいます。
8年前にオリンピックの東京招致が決まった時のことを
思い出します。
当時の安倍首相は
「原発事故の放射能は完全にコントロールできている」と
全世界に向けて日本開催は問題ないと言いました。
「おもてなし」の言葉が今も印象的に残っています。
外から見ると復興している所ばかりが見えますが
被災地の皆さんは確かに復興していく中も
それぞれの10年の歩みがあり
これからの10年20年の歩みがあるということです。
帰る家を失い家族を亡くして10年
笑顔いっぱいに走ろうと
それぞれの思いをもっての聖火リレーです。
コロナ禍で五輪開催も正式に決まっていないなかで
大きな不安もありますが
多くのランナーが心ひとつに
聖火を日本中でリレーしていきます。
お念仏のリレーを重ねて思います。
あなたから私へ私からあなたへお念仏のリレーです。
その大本をたずねていくと阿弥陀さまです。
阿弥陀さまがすべてのものを分け隔てなく必ず救うと
ご本願を建てられ成就されて南無阿弥陀仏となって
私たちに届けてくださり
今こここの私がお念仏のリレーをさせていただいていると
味わわせていただきます。
南無阿弥陀仏の大きなおはたらきに遇わせていただいて
この私の口からお念仏が出てくださいます。
そのお念仏の声が周りの方々に
そのままお念仏のリレーとなって
伝え届けられていくのです。
お念仏の聖火です。
真っ暗闇の中に一つ火が灯って周りを広く大きく
明るく照らしていくのです。
私たちはお念仏の聖火ランナーです。
今日一日もお念仏の聖火リレーを
させていただきましょう。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2021.3.26)