8月盆月です
2024-08-01
8月になりました。
連日の猛暑続きで冷房の部屋から
離れられない状況ですが
いよいよお盆参りが始まります。
私が小さい頃の盆参りは
8月13、14、15日の三日間限定で
早朝から夜日が暮れるまで
丸一日かけてお参りしたものですが
今は10日ほどかけてゆっくりお参りしています。
ただ一年で一番暑いこの時期に
屋外を回るということで
誰かが坊主地獄といわれていました。
それも昔の暑さとは比べものにならない今の暑さは
まさに灼熱地獄の様相です。
昔は扇風機が風を送ってくれました。
そしてお勤めする後ろからお家の方が
団扇で仰いでくれたものです。
あたたかい夏の思い出です。
今は扇風機や団扇ではとても追いつきません。
冷房の入った仏間も多くなりましたが
家の中でも仏間は
家族がよく使う部屋ではありませんので
お葬儀やご法事のご縁に
やっと冷房が入るということです。
お家の人も一緒に仏間に座ってお参りしてくだされば
すぐ実感されることですが
汗を流してお勤めしている仏間のすぐ隣の部屋で
涼しい中で高校野球のテレビ観戦をして
声援する声が聞こえたりすることもありました。
仏さまのご縁に遇うことの難しさを思いますし
ご縁をいただく有難さを思います。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2024.8.1)
「やばっ!」
2024-07-31
オリンピックはいろんな競技を
一遍にテレビで楽しませてもらって
どの競技を観るか選択に迷うほどです。
競技自体もそうですが
競技の解説者に注目です。
日頃馴染みのない新たに採用された種目は
初歩的なルール自体もわからないので
解説に耳をそばだてて聞き入るのですが
新しい言葉それもカタカナ言葉には
中々付いていけません。
前回の東京五輪から新種目になったスケートボードは
競技の面白さもそうですが
解説者の声に共感させられます。
「やばっ」という声が何度も聞こえます。
「やばい」ということですが
本来の「状況が不都合で良くない」という意味ではなく
競技者が鮮やかな技を決めた時に発せられる
私たちと同じ観衆目線に立ったそのままの感情で
みんなが共感できる言葉です。
誰か特定の人を応援しているのではなく
誰の演技でも感動した見事な演技に発せられます。
ストリートスケボー文化というそうです。
アメリカで少年たちが町中のストリートで
スケートボードを自由自在に操り
技を競ったといいます。
手すりや階段ベンチなど町中にあるものを使って
遊び心から始まった文化です。
その演技に点数をつけて競い合い
スポーツ競技になったのだそうです。
パリで五輪二連覇を果たした堀米選手は
「東京五輪の後何をしていいのか分からなくなった。
地獄のような苦しみだった」と述べています。
そしてストリートスケボー文化の原点に戻れたことが
良かったと言います。
選手の苦しみがわからない傍観者の私たちは
ただ無責任にメダルを獲ったその時は大いに持ち上げ
オリンピックが来るとまた次のメダルを期待します。
周りから見る目と競技の世界にいる選手の目の
大きなギャップです。
彼らは勝負する競技者でありますが
お互いの技を競い合い
成功しても失敗しても互いの健闘をたたえ合い
喜び悔し涙を流すこともあります。
東京五輪のときに
勝者に敗者たちが駆け寄り一緒に喜び
敗者に寄り添い健闘をたたえ合った
10代の少年たちが見せてくれた自然の振る舞いです。
まさにこれが文化だと思います。
文化とはカルチャー
心を耕し豊かにしてくれるものです。
自分だけでなく他者も共にです。
「やばっ」と自然に出る言葉に
共感の文化を思います。
「ナモアミダブツ」とふと出るお念仏の声です。
あなたも私も共々にお念仏申して
心豊かに生かされて生きるお念仏の共感の世界です。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2024.7.31)
まさかの大逆転!
2024-07-30
パリオリンピックが始まり
日本選手の連日の活躍で
日本中が大いに盛り上がっています。
各競技時間が日本時間の深夜になることで
朝起きて結果を知ることが多くあります。
今朝のトップニュースは
体操男子団体とスケートボード男子個人の
大逆転劇です。
ほぼ金メダルは難しいという状況で
最後の最後に逆転したということです。
これまで逆のケースを
何度も見ることがあっただけに
日本にとってこれほど痛快なことはありませんが
相手からするとどうでしょう
何でどうしてと割り切れない思いが
ずっと残るのではないでしょうか。
勝負の世界です。
勝つものがあれば負けるものがある
否負けるものがあって勝つものがあるということです。
勝つか負けるかで
天と地ほどの両極端な状況になりますが
実際に競技をする選手の皆さんは
何度もこれまで経験して知っています。
相手の実力力量であり
勝負への準備と努力を知っているからこそ
試合を終えて勝者も敗者も
互いに相手を讃え合えるのです。
そこにこそスポーツマン精神
オリンピック精神があると思うのですが
問題はその時どきの競技の結果勝敗にこだわる
私たちの思いはからいものの見方です。
3年前の東京五輪で新採用になったスケートボードで
日本選手が男女とも金メダルを獲りました。
その時はテレビの実況中継はなく
他競技の実況中に「ニュース速報」で
快挙を知りました。
それからが大変でした。
スケートボードを見る目がひっくり返るんですね。
何度も何度も決勝VTRがテレビで流れ
金メダル選手のこれまでの戦績や
生い立ちまでが報道されて
大フィーバーが起こったものです。
私たちのものの見方は
自分にとって都合が良いか悪いかで
その時どき様々な状況で簡単にひっくり返るんです。
勝者は讃えられ
有望選手も敗者になると手のひら返しの扱いで
忘れられていくのです。
今はSNSで思わぬ結果に腹を立て
誹謗中傷の的にまでなるのです。
すべてが自分中心の思いはからいで
良かった悪かったと生きて
苦悩し迷う私たちの有り様です。
阿弥陀如来はそんな私たちを
「煩悩具足の凡夫」と見てとって
「われにまかせよ、そのまま救う」と
南無阿弥陀仏と喚んでくださり
大きなお慈悲の中に共々に生かされる世界に
導いてくださるのです。
オリンピックは続きます。
これからも勝った負けたといって
メダルの色や数が話題になるでしょうが
それはそれでお念仏申しましょう。
お念仏の世界に勝者も敗者もありません。
すべてのいのちがそれぞれに光輝く
みんなが金メダルの世界を
阿弥陀さまが私たちに用意してくださってあるのです。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2024.7.30)
ココナツのエピソード
2024-07-29
アメリカ大統領選の民主党候補に指名確実な
ハリス副大統領の支持を表すシンボルに
ココナツの絵文字がSNS上で拡散され
注目を集めているそうです。
小さい頃母親から
「あなたはココナツの木から
落ちてきたとでも思っているの?」と
叱られたというエピソードです。
若者は何かと不平不満を口にするが
若者も上の世代とつながっており
人間は先人の歩みや周囲との関係性において
存在しているということを諭されたといいます。
この世のなかのすべての事象には
原因があり幾多の条件が相縁り合って
結果として起こるということで
私たちは色々様々なご縁をいただいて生きているという
仏教の縁起の思想に通じるものです。
私たちは自分に都合よく
思うようになったことについては
自分の手柄にでもしてしまいますが
様々な人やもののおかげで
生きているということです。
一方思うようにならないと
周りのものの責任のように批判し責めますが
すべては色んな条件が重なって起こることであり
自分もその中の一人で
全く自分に関係ないことは何一つないということです。
今の事実に自ら責任をもって向き合うことが大切で
ただ批判ばかりしていても
周りは何も聞いてくれないしただ見ているだけで
逆に関係ないと突き放されることにもなって
結局分断を深めることにもなりかねません。
私たちは大きないのちのご縁つながりのなかに
共々に生かされて生きているということで
互いに理解し合い課題を共有して
自分にできることをさせていただくことが肝要です。
自分一人で何ができるというのか
周りの方々に支えられ
生かされて生きているということで
周りを非難するのではなく尊び敬い学ぶことで
ものごとの真実が見えてきて互いに理解を深め
チームとして何を為すべきか共に考えていくなかに
課題を見つけ反省して
次の段階に進むことにもなるということです。
これからハリスさんが大統領候補として
広く支持を集めていくときに
ココナツのエピソードは
大事なキーワードになるかもしれません。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2024.7.29)
サマースクールのご縁です
2024-07-28
夏休み恒例の
<子ども会サマースクール>を行いました。
コロナ禍で2回中断しましたが
今回で42回目の開催になります。
今は若い住職が企画運営をしてくれていますが
坊守が「よくやってきましたね」と言いました。
1泊2日の基本的なプログラム構成で
新しい企画を入れ替えしながら楽しくやってきました。
お寺の本堂で子どもたち大勢と
寝食を共に生活することです。
普段の小人数の家族の営みとは大分違うことで
子どもたちには楽しい発見もあったでしょうし
団体行動で自分の思い通りにならないことも
たくさんあったと思います。
自分の思い通りにならないことで
腹を立てたり喧嘩になったりする子どももいて
大きな声で叱ることも度々ありました。
今思えば何であんなにと反省することもあって
若かったということでもあるし
熱い情熱も体力もあったんだなと振り返ります。
参加した子が中高生になり
お手伝いをしてくれたり
20回を過ぎる頃からは
これまでの参加者の子どもたちが
参加するようなこともありました。
長く続けていればこうした楽しみも増えて
これも仏さまのご縁つながりだなと思います。
そして門徒さんの理解と協力です。
お家の子や孫ばかりでなく近所の子どもたちにも
「お寺に行こう!」と声かけをしてくれたり
食事のお世話や種々企画のご加勢をしてくださいます。
お寺の本堂や境内で子どもたちが元気に遊びまわり
子どもたちの大きなお念仏の声が聞こえます。
昨今の諸事情でサマースクールのあり方も
変わってきますが
これからも皆さんで相談工夫して
子どもたちに喜んでまた来てもらえるお寺に
なってほしいと思います。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2024.7.28)