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お念仏を申す生活法話

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「浄土にうまるる 因も果も 往くも還るも 他力ぞと ただ信心を すすめけり」

2021-11-14
 毎日お朝事には『正信偈和讃』のお勤めをしています。
お正信偈御和讃とも親鸞聖人が著述されたものです。

 御和讃は毎日繰り読みといって
『浄土和讃』『高僧和讃』『正像末和讃』の順番に
53日間で一通り繰って読んでいきます。

 今日拝読の御和讃は
インド中国日本に出られた七人の高僧方を讃嘆する
『高僧和讃』の中で第三祖の中国の曇鸞大師の和讃四首と
道綽禅師の和讃二首をいただきました。

 この『高僧和讃』は全部で119首ありますが
そのうち曇鸞大師の和讃が34首あり最も多いのです。
次に多いのは善導大師の26首で源空聖人は20首です。

 数だけでいうわけではありませんが
親鸞さまがいかに曇鸞大師に
思いを寄せていたかと思います。

 「親鸞」の名前の由来です。
「親」の字は天親菩薩から
「鸞」の字は曇鸞大師から頂いたものです。

 天親菩薩が書かれた『浄土論』を註釈されたのが
曇鸞大師が書かれた『往生論註』です。
 お師匠さんの源空(法然)聖人からのご教授ですが
『浄土論』『往生論註』が親鸞さまの思想信仰の
大きな基盤になっているということが伺えます。

 お正信偈の中にも七高僧のご功績が書かれています。
七人の高僧方の名前が出てきますから
注意して読んでください。

 その中の曇鸞大師について書かれた
「本師曇鸞梁天子」から
「諸有衆生皆普化」までの12句の中に
「天親菩薩論註解 報土因果顕誓願
   往還回向由他力 正定之因唯信心」
<天親菩薩の『論』を註解して
 報土の因果誓願に顕す
 往還の回向は他力による
 正定の因は、ただ信心一つである>とあります。

 現代語訳は
「曇鸞大師は天親菩薩の『浄土論』を註釈して
浄土に往生する因も果も
阿弥陀仏の誓願によることを明らかにし
往相も還相も他力の回向であると示された。
浄土へ往生するための因は、ただ信心一つである」です。

 浄土真宗の教えの根幹が端的に示された御文で
他力ということです。
 他力とは阿弥陀さまの本願力といって
阿弥陀さまがこの私を必ず救うと成就された
ご本願の力はたらきです。

 本願成就の南無阿弥陀仏となって
私のところに来てくださって
この私の口から南無阿弥陀仏と
お念仏が出てくださるといただきます。

 南無阿弥陀仏の他力のおはたらき一つで
阿弥陀さまが建立された阿弥陀さまのお浄土に
往生させていただくことを往相といいます。

 往くといって今ここはお浄土ではありません。
この命終えてそのままお浄土に生まれることを
阿弥陀さまの方でもうすでに決めてくださったのです。

 お浄土に生まれてさとりの仏さまに成らせていただくと
すぐこの世に還って来るといいます。
還相といいます。
 迷いの世界に還って迷う人々を救うというのです。
これも南無阿弥陀仏の他力のおはたらきです。

 この後『浄土真宗の教章』を皆さんで唱和しますが
「教義」の項目に端的に記されています。

 お正信偈の意訳勤行に『しんじんのうた』があります。
先に述べたところに
「天親の論 釈しては 浄土に生まるる 因も果も
往くも還るも 他力ぞと ただ信心を すすめけり」
とあります。

 私の父昭然前住職の往生のご縁で
中陰の四十九日間の期間中山門掲示板に
この意訳のことばを書かせていただきました。

 人の命終えてもこれからもずっと
私たちは南無阿弥陀仏の大きないのちのつながりのなかに
共々に生かされて生きることができる
お念仏のお救いに遇わせていただきます。

 お念仏が私のところに届けられて
今日は仏教壮年会の例会で皆さんとご一緒にお念仏申して
南無阿弥陀仏の御声がたくさん大きく
「浄土にうまるる 因も果も 往くも還るも 他力ぞと」
頼もしく有難く聞こえてきます。

ご一緒に、お念仏申しましょう。(2021.11.14)


共にこの道を往く

2021-11-13
 今朝の御和讃の一首です。
『高僧和讃』「曇鸞讃」の
「安楽仏国にいたるには 無上宝珠の名号と
   真実信心ひとつにて 無別道故とときたまふ」
<阿弥陀仏の浄土に往生するには
 この上ないすばらしい宝の玉のような名号と
 そのはたらきによる真実の信心の他に
 別の道は何一つないと説かれている>です。

 阿弥陀さまがこの私を必ず救うと願いをおこされ
私が救われるすべての手立てを南無阿弥陀仏に成就されて
私に回向してくださってあるとお聞かせいただきます。

 南無阿弥陀仏のお名号は「必ず救うまかせよ」の
阿弥陀さまのお心おはたらきで他力といいます。
 そのお心おはたらきが
そのまま私に届いたすがたですから
他力の信心といい他力のお念仏というのです。

 南無阿弥陀仏のおはたらきは十方衆生に届けられ
生きとし生けるものすべてが
分け隔てなく無条件に救われるのです。

 「わが心を信じさせ、わが名を称えさせて
わが浄土に生まれさす」と
真実の世界お浄土から阿弥陀さまが開いてくださった
お浄土への道はただこの道一つで
他に別の道はありません。

 私一人だけでなくどんな人にも開かれた道ですから
南無阿弥陀仏の他力のおはたらきで
みんな共々に往けるお浄土への道です。

 今日も私たちのこの口から南無阿弥陀仏と
お念仏が出てくださいました。
 阿弥陀さまのおはたらきがこの身に満ち満ちで
お念仏申すままに救われていくこの道を
今日も一日ご一緒しましょう。

ご一緒に、お念仏申しましょう。(2021.11.13)

瀬戸内寂聴さん

2021-11-12
 瀬戸内寂静さんが往かれました。
作家で僧侶で皆さんもよくご存知の方ですが
私は一編も瀬戸内さんが書かれた
小説や評伝を読んだことがありません。

 テレビ新聞雑誌などマスコミによく取り上げられ
短いエッセイや対談を聞きかじった程度のことですが
交友関係が広く文学界や芸能界からも
お悔やみのコメントがたくさん寄せられています。

 瀬戸内晴美のペンネームで一躍人気作家となります。
戦中に結婚され戦後まもなく離婚
4歳の娘を残して家を出て行きます。
 自由奔放な生き方に世間の厳しい風当たりのなかも
何度も恋愛しては破局を繰り返し51歳で出家されます。

 法名「寂聴」を名乗りその後も作家活動を続けられます。
住職になられた岩手天台寺での青空法話会の映像が
今でも大変印象に残っています。
 老若男女多くの方が押し寄せるように
お寺の境内を埋め尽し寂聴さんの法話に
思い思いに立って座って聞き入っていました。

 親鸞さまが初めて法然さまの吉水の庵を訪ねたとき
貴族も武士も農民も皆共に法然さまが説かれる
「念仏一つでどんな人も等しく救われる」み教えを
聴聞されている光景を重ねて想いました。

 近年では東日本大震災の後被災地を回って
お話をされていたことや
京都嵯峨野の寂庵での法話会のようすを観ていました。

 お寺の本堂でいつもの型通りのものではなく
皆さんの顔が見える所からマイクをもって
ユーモアを交え軽妙にお話をされます。
 うっとりと聞き入っている人もいれば
頭をうなだれ考え込むように聞いている方もいます。

 波乱万丈の人生でいろんな経験をしてきた方ですが
皆さんの顔を見ながら聴いているんですね。
 法名の「寂聴」は仏教の三法印(真理)の一つ
「涅槃寂静」のおさとりの世界の仏さまの教えを
聴くという意味でしょうが
独り寂しく生きる私たちの思いを受けとめて
「あなたの苦しみ悩みわかりますよ。うんうん」と
頷きながら聴きながら寄り添いながら
優しくお話をしているように思います。

 寂聴さんのご法話は
難しい仏教用語を使うわけではありません。
これこれこうだからこうだよと
一方的に話すことでもありません。

「無常」ということを何度も話されていました。
この世のすべてのものは常がなく移り変わって行くという
「諸行無常」「諸法無我」の真理です。

 お説教で無常というと
生きることはこの身が移り変わるということで
どんな人も老いて病気になって命終えていくんですよと
聞いている方が殆どだと思いますが
寂聴さんが話す無常は
「今はどん底でもこのままということはありません。
移り変わって行くのだからあきらめないでね」と
肯定的にお話をされて
孤独をかかえ絶望の中にいる人に向かって
「今が一番のどん底だからね。
朝が来ない夜はないというように
きっと明かりが見えてきますよ」と
発信し続けていかれました。

「あなたの人生なんだから
あなたはあなたのままでいいよ」と
生そのものをそのまま受けとめ生き抜かれた
寂聴さんの言葉にどれだけの人が
勇気づけられたかと思います。

 「『死』は無になるのではなく
『他界』に移るような気がしてきた」と
最近書かれていたそうです。

 この命いつか必ず終えていきますが
死んだらお終いではなく
南無阿弥陀仏のおはたらき一つで
阿弥陀さまのお浄土に往かせていただき
さとりの仏に生まれてこれからも
南無阿弥陀仏のいのちのつながりのなかに
先に往かれた方も後に遺った私たちも
共々に生かされて生きて往けると安心して
今日も一日お念仏を申す生活をさせていただきましょう。

ご一緒に、お念仏申しましょう。(2021.11.12)


他力の信心一つの救い

2021-11-11
 今は『高僧和讃』の第三祖曇鸞大師のご事績を
讃嘆させていただいていますが
今日拝読した五首目に
「論主の一心ととけるをば 曇鸞大師のみことには
   煩悩成就のわれらが 他力の信とのべたまふ」
<天親菩薩が『浄土論』を説かれた一心を
 曇鸞大師は、煩悩にまみれたわたしたちがいただく
 他力の信であるといわれている>とありました。

 昨日もお話しましたが
天親菩薩の書かれた『浄土論』を
曇鸞大師が註釈したものが『往生論註』です。

 浄土論の冒頭に天親菩薩が
「世尊我一心 帰命尽十方 無碍光如来 願生安楽国」
と述べられた「一心」のお心を
曇鸞大師は「他力の信」といただかれたのです。

 「他力とは如来の本願力なり」と
親鸞さまがお示しのように
他力とは阿弥陀さまのご本願のお心
煩悩成就のわれらを必ず救うというおはたらきです。

 仏さまのおさとりの世界から遥かに遠い
煩悩にまみれた迷いの境涯にあって
苦しみ悩みを繰り返しているこの私を
阿弥陀さまは見抜かれて本願をたてられ成就して
「必ず救うまかせよ」の南無阿弥陀仏のおはたらきで
そのまま救うてくださるというのです。

 阿弥陀さまの他力の信心一つでどんな人も救われる
浄土真宗のご法義を親鸞さまが私たちに
明らかに示してくださっているのです。

ご一緒に、お念仏申しましょう。(2021.11.11)


親鸞さまのお名前の由来

2021-11-10
 親鸞聖人のご生涯で
名前が何回も変わっています。

 9歳で出家した時は範宴でした。
29歳の時比叡山を下りられ法然聖人の門下に入ってからは
綽空、善信、親鸞と名乗っています。

 この綽空、善信、親鸞という名前は
七高僧さまのなかで龍樹菩薩以外の
天親菩薩、曇鸞大師、道綽禅師、善導大師
源信和尚、源空聖人のそれぞれ一字を
取って付けられたお名前です。

 そこで今日の第五首目の御和讃です。
「天親菩薩のみことをも 鸞師ときのべたまはずは
   他力広大威徳の 心行いかでかさとらまし」
<天親菩薩の『浄土論』の教えを
 曇鸞大師が『往生論註』に
 詳しく示してくださらなかったら
 広大ですぐれた功徳をそなえた他力の信心と念仏を
 どうして知ることができたであろう>
とあります。

 お正信偈の中に七高僧さまのお名前が出てきますが
一人だけ二回出てきます。
 それが天親菩薩です。
「天親菩薩造論説」「天親菩薩論註解」とあります。
 天親菩薩の後に論が続きますが
天親菩薩が書かれた『浄土論』です。
 その浄土論を曇鸞大師が註釈された
お書物が『往生論註』です。

 親鸞さまは『浄土論』『往生論註』を大切にいただかれ
私の仏道はここにありと
法然さまから聞かれたのではないでしょうか。

 親鸞の二字は天親と曇鸞のそれぞれ一字を
いただいていることからも伺えます。

 天親菩薩は『浄土論』の冒頭
「世尊我一心 帰命尽十方 無碍光如来 願生安楽国」
(世尊、われ一心に尽十方無碍光如来に帰命したてまつりて
 安楽国に生ぜんと願ず)と述べられています。

 私は阿弥陀さまのお心
南無阿弥陀仏のおはたらきにおまかせして
阿弥陀さまの安楽国お浄土に往生させていただきます
とのおこころです。

 「帰命無量寿如来 南無不可思議光」で始まるお正信偈の
親鸞さまのおこころに重ねて思います。
 「天親菩薩造論説」「天親菩薩論註解」と
また重ねて声高らかにお勤めさせていただきましょう。

ご一緒に、お念仏申しましょう。(2021.11.10)


円光寺
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