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お念仏を申す生活法話

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接種と摂取

2022-05-10
 今日の御和讃は浄土三部経の一つ
「仏説阿弥陀経」のお心を讃嘆するものです。

 「十方微塵世界の 念仏の衆生をみそなはし
   摂取してすてざれば 阿弥陀となづけたてまつる」
(数限りないすべての世界の念仏するものを身通され
 摂め取って決してお捨てにならないので
 阿弥陀と申し上げる)で始まります。

 阿弥陀さまを摂取不捨の仏さまと讃えます。
念仏申すものを光明の中に摂め取って捨てることがない
仏さまになってくださいました。

 今日の御文章の中にも
「摂め取って捨てず」の文言が出てまいりました。

 今はせっしゅと聞くとワクチン接種を思い起こします。
阿弥陀さまの摂取とは漢字自体が違います。

 摂取とは異なるものの中に入って
同化するはたらきをいいます。

 異なるものとは阿弥陀さまからいったら
この私のことです。
 仏と凡夫の関係で
この私は救われようのない凡夫です。
 その私を同化するとは
南無阿弥陀仏の同じおはたらきの仏にしてくださるのです。

 一方ワクチン接種の接種は
種を植え付けるという意味で
健康な体にワクチンという異物を入れるわけですから
副反応の症状がでるのは不思議ではありません。

 仏に成る種を阿弥陀さまが
この私に植え付けるのです。
 阿弥陀さまはこの私に仏に成る種がないと
見抜かれたのです。

 親鸞さまは
「摂はものの逃ぐるを追はへとるなり」と
注釈されています。
 阿弥陀さまを背にしてどこまでも逃げ惑うこの私をこそ
阿弥陀さまはどこまでも追いかけて
必ず救うと味わわれたのです。

 善根を積んで阿弥陀仏に向かって近づいていく
聖者や善人を迎え取るということではなく
阿弥陀仏に反逆しその救いの手から逃げようとしている
愚かなこの私をどこまでも追い求め
教えを受け入れるものに育て導いていこうと
本願大悲の光明のおはたらきをいただかれたのです。

 言うことを聞く者は放っておいてもいいのですが
言うことを聞かないのがここに居るというのです。
 この私です。
だからこそ阿弥陀さまの方から
追いかけてくるというのです。

 「本願を信じ念仏申さば仏に成る」との
浄土真宗のご法義ですが
そのまま聞くと私がという主語になります。

 阿弥陀さまの摂取不捨の
南無阿弥陀仏のおはたらきです。
 阿弥陀さまがこの私に本願を信ぜしめ念仏申さしめて
浄土に迎え取って仏に成らせるのです。

 この私一人を救うために
遥か昔から長い間ご苦労くださって
すっとお立ちの南無阿弥陀仏の仏さまに
成ってくださったと
今日の御和讃をまた深く味わわせていただきます。

ご一緒に、お念仏申しましょう。(2022.5.10)


他力の信心いただいてお念仏申す生活です

2022-05-09
 浄土真宗は他力のお救いのご宗旨です。

 今日の御和讃の中にも
「自力の心をひるがえし」という
文言が出てまいりました。

 自力の心をあらためて
他力の信心を得ようといわれます。
 他力とは阿弥陀さまの本願力
南無阿弥陀仏のおはたらきです。
 浄土真宗は南無阿弥陀仏一つで
どんな人も等しく救われるご法義です。

 今日9日の御文章さまは
「数珠の章」です。
 お寺にお参りする人の姿を見ると
数珠を持たない人がいるといいます。

 数珠を持たないでお寺にお参りする人は
仏さまを敬う気持ちが欠けているようで
仏さまのお救いに遇うことはできないと
見るのが私たちですが
阿弥陀さまのお救いは数珠を持たなくても
他力の信心一つで十分だとのお示しです。

 他力のお救いには
数珠を持つとか持たないとか
善いことをしたとかしないとか
悪いことをした人も
すべて等しく救うということで
救いの条件がないのです。

 すなわち「他力の信心一つばかりなり」に
おさまるのです。

 阿弥陀さまの「必ず救うまかせよ」の
南無阿弥陀仏の大きなお慈悲のおはたらきのなかに
私たちはもうすでに摂取不捨され生かされてあると
そのこと一つ聞かせて
信心いただいてくれよというのです。

 では他力の信心をいただいたら
私たちはどう変わるのかと質問されます。
 変わるところと変わらないところがあります。

 凡夫のこの身は変わりません。
お念仏喜ぶ人も欲の心怒りの心愚かな心が
命終わる時まで絶え間なく出てくるのです。

 何が変わるのかというと
他力のご宗旨に遇わせていただくと
お念仏申す身にさせていただけるのです。
 お念仏に凡夫の身と聞かせていただき
そのまま救われていくのです。

 凡夫の身をお念仏申して生きて往けるのです。
私が私がとどこまでも自己中心に生きる私ですが
阿弥陀さまがいつもご一緒の私です。

 阿弥陀さまのお慈悲に摂め取られ生かされ
阿弥陀さまのお心に適うような
私にできるご報謝の生活をさせていただきます。

 私たちの生活ぶりはそれぞれ違いますが
南無阿弥陀仏の大きなお心おはたらきのなかに
今日もお念仏申す生活をさせていただきましょう。

ご一緒に、お念仏申しましょう。(2022.5.9)


今日は母の日(2016年アーカイブ)

2022-05-08
 今日は5月の第2日曜日で母の日です。

 今朝のご和讃は『観経讃』といって
浄土真宗の所依の経典浄土三部経の一つ
『仏説観無量寿経』を讃えるご和讃です。
 観無量寿経には「王舎城の悲劇」という物語が説かれ
阿弥陀さまの救いの目当てが悪人にこそあると
親鸞聖人がいただいているご和讃です。

 今朝は第三首目の
「阿闍世王は瞋怒して」から始まりました。

 阿闍世王はお母さんである韋提希夫人を激しい怒りで
殺害しようと剣を抜いて襲いかかったといいます。
 余程の怨念があったのでしょうが
王の父を殺して王の座を奪った王子は数知れないが
未だかつて母を殺す無道な業をしたものはないと
周りの重臣にたしなめられて止めたといいます。

 母を殺すことは父を殺すことと同じように
仏教において五逆罪の重い罪にあたります。

 母の日は母に感謝するということですが
母の恩父の恩という親の恩とはどういうことでしょうか。

 私は今ここに生きていますが
この命はどこから来てどこに往くのか
考えたことがありませんか。

 考えても人知に及ばないことで
考えても仕方がないと思っている人が殆どだと思いますが
確かに言えることは
この私の命はお父さんとお母さんがいてくださっての
命だということです。

 お母さんのお腹の中から生まれて来たことは
確かに頷けるところです。
 親の恩の極みは
この私を産んでくれたということです。
 この世に生まれて
今こここの私を生きているのです。

 生きているから楽しいこともあれば
苦悩することもあるわけです。
 そして生きているから
仏の教えに遇うこともできるのです。

 私のお母さんです。
今もこの世に健在の方もいるでしょうが
亡くなった方もおられるでしょう。

 仏法を聞かせていただくと
死んだらおしまいではないんですね。
 命終えてこの目に見ることも
懐かしい声を聞くこともかないませんが
今はお浄土の仏さまとなって
南無阿弥陀仏と私のところに還って来て
「まかせよ救う」とこの私を護り救うおはたらきを
してくださっていると聞かせていただきます。

 ご和讃のなかに何度も方便の言葉が出てきました。
嘘も方便といいますが
これは嘘ではありません。
 方便とは真実に導く手立てという意味で
真実を見ることができない私のために姿を変えて
真実に導いてくださるおはたらきです。

 観経王舎城の悲劇の登場人物は
善いも悪いも皆浄土の聖者だと
親鸞聖人はいただかれています。

 お母さんのことだけではなく
先に往かれた大切な人のことを思い起こすときは
南無阿弥陀仏とお念仏申しましょう。
 お念仏申すところに
いつも私とご一緒してくださっています。

 この時期皆さんのお家にお参りしますと
お仏壇にカーネーションのお花を
お供えされているところがあります。

 今は人の命を終えてお浄土に往かれた
お母さんを敬い慕い感謝の思いを伝える尊いすがたです。
 今もわが子にかかりっきりになって
「仏法に遇って、お念仏申す身になってくれよ」と
おはたらきのお母さんの仏さまです。

 今日の母の日
お念仏申してお母さんをたずねてまいりましょう。

ご一緒に、お念仏申しましょう。(2016.5.8)

思いがけない訪問者(2013年アーカイブ)

2022-05-07
 ゴーデンウィークの連休最後の昨日
エホバの証人の女性信者二人が訪ねてみえて
「お話を聞いてください」ということでした。
 ご門徒皆さんのお家にも行かれているお話も聞きますが
自ら信仰する教えを伝える訪問伝道という布教活動です。

 お昼の11時前で法事があることを伝え
少しお話を聞いてチラシを置いて帰って行かれました。

 チラシに真理とは何かということについて
真理を知って私たちは色んな不安や迷い恐れから
解放されると書かれてありました。
 逆に私たちは真理を知らないが故に
迷いのなかにあるというんですね。

 エホバの証人はキリスト教の分派と聞いていますが
仏教がいっていることと変わりません。

 お釈迦さまは真実の真理の仏法を覚られて
仏さまに成られ私たちに仏法を伝えお勧めです。
 如実知見といって
物事の真実そのままをありのままに知れと教えます。
 お釈迦さまが開かれた
お覚りの境地です。

 この世の事象を真実ありのままに知ることで
悩み苦しみ迷いから解放されるということですが
これを邪魔するものがここに居るというのです。
 それがこの私だと仏法は教えます。
どこまでも自己中心に物事を見て思い考え生きる私です。

 自分の思い通りになったらなったで有頂天になり
そのことに満足することなく
もっともっとと欲を張る私がいます。
 思い通りにならなかったら腹が立ちます。
他者を傷つけ損なう私がいます。
 真実本当のことを知らない愚かな私だと
煩悩具足の凡夫と見抜かれたのが
真実真如の阿弥陀如来です。

 阿弥陀さまは真如の世界から
南無阿弥陀仏とこの迷いの世に来てくださって
ご本願のおはたらき一つで私たちを一人残らず
「まかせよ救う」とそのまま摂取不捨くださるのです。

 お念仏申して阿弥陀さまの大きなお慈悲の中に
この人生を生き抜かせていただき
命終えて阿弥陀さまのお浄土に生まれさせていただいて
阿弥陀さまと同じ南無阿弥陀仏の仏に成らせていただく
仏教浄土真宗のみ教えです。

 エホバの証人のお方にも仏教浄土真宗のお話が
一緒にできたらと思います。

 それにしてもこのお寺にまで伝道に来られるとは
尊いことですねと言って
一つだけお願いがありますとお話しました。

 皆さんがお家お家を訪問して
チャイムを鳴らしても出てこないお家や
玄関は開けたけれども顔を見るなりピシャっと
戸を閉める人もあると思いますが
人それぞれにものの見方考え方が違うということで
気分を悪くしないでくださいと言いました。

 宗教の勧誘にどう対処したらいいのか尋ねられたときに
私は「うちは浄土真宗だから結構です」と
はっきりお断りしてくださいと言っています。

 宗教はこの私の問題で
私が聞かせていただくことです。
 今日もこうしてお朝事のご縁をいただくなかに
仏法に遇わせていただきます。

 朝起きてこの時間に
通勤通学の準備をされている方
朝ご飯を作られている方
まだ眠っている方と
色々あると思いますが
阿弥陀さまの南無阿弥陀仏のおはたらきになかに
それぞれ生活ぶりは違いますが
お浄土への人生を共々に歩ませていただいていることを
今日もこうしてお朝事のお勤めをし
南無阿弥陀仏とお念仏を申して有難く思います。

ご一緒に、お念仏申しましょう。(2013.5.7)


六字のうちに住む

2022-05-06
 今はゴールデンウィーク中ですが
今日は6日の金曜日で平日です。
 先週の4月29日「昭和の日」から長いお休みの人で
明後日日曜日までの10連休といいますが
今週2日の月曜日と今日6日の金曜日は平日ということで
今日は子どもも大人もいつもの時間に朝起きて
通学通勤する人が多いと思います。

 2日3日とお休みが繰り返し続くなかでの
平生の日常は勉強に仕事にと
ちょっと気が抜けたような感じでしょうか。

 お仕事でしたら有給休暇をとって
長期の旅行をする方もいらっしゃると思いますが
コロナ禍でままなりませんし
何か中途半端にダラダラと時間だけが
過ぎ行くようなことにもなりかねません。

 朝起きて始まる日々の日暮らしです。
こうしてお朝事のご縁をいただける有難さを思います。
 皆さんそれぞれ決まった時間に起きて
朝の支度を済ませてお寺にお参りです。
 生活ぶりはそれぞれ違いますが
今日もこの時間定刻に御仏前に一堂揃いました。

 連休中に何をするかといって
外に出かける人もあれば家で用事をする人もあったりで
時間の過ごし方はそれぞれ違います。

 私のことでいったら
これまでに読んだ本をランダムに読み返しています。

 お念仏を喜んで生きた妙好人について書かれた本で
山口下関沖六連島のお軽同行を紹介します。

 妙好人といって特別な人ではなく世間一般の方ですが
波乱万丈な人生とまではいいませんが
生活ぶりはいろんな問題を抱えて悩み生きた方が多く
お念仏のご法義に遇って
力強く往生浄土の人生を生き抜かれます。

 お軽同行も家庭的に大変なご苦労があった方ですが
「鮎は瀬に住む 小鳥は森に わたしゃ六字のうちに住む」と
うたを詠まれています。
 鮎は川の瀬に住み小鳥は森の中に住むように
私が住む居場所は六字のうちだというのです。

 南無阿弥陀仏の六字です。
阿弥陀さまの大きな慈悲にまかせて
住まいさせていただく有難さです。

 いろいろと大変なことがある人生だけれども
私の居場所はここだと私が決めたのではなく
阿弥陀さまが私のために用意をされ決めてくださった
南無阿弥陀仏のお慈悲の中に生かされて
命終えてそのまま阿弥陀さまのお浄土に
生まれさせていただける大きな安心のなかに
今日一日を日暮らしできるというのです。

 ゴールデンウィーク皆さんそれぞれに
過ごし方は違います。
 日々の生活ぶりが違う私たちですが
同じ六字のうちに住む私たちは
今日もこうして阿弥陀如来のお家から
お念仏申す生活を始めさせていただける有難さです。

ご一緒に、お念仏申しましょう。(2022.5.6)


円光寺
〒870-0108
大分県大分市三佐3丁目15番18号
TEL.097-527-6916
FAX.097-527-6949
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