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お念仏を申す生活法話

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宗教の救い

2022-07-15
 安倍元首相の銃撃事件が
宗教の問題になって報道されています。

 容疑者のお母さんがある宗教団体の信者になり
多額の献金をして家庭崩壊を招いた恨みが
今回の事件の動機だと容疑者の供述です。

 テレビ新聞週刊誌などで次々と報道がなされて
献金金額が1億円にのぼることや
家庭内のことが具体的に時系列で明らされています。

 この宗教団体は過去に霊感商法や合同結婚式で
社会的にも大変注目されていましたが
なぜこのような宗教にのめり込むのかということで
元信者の告白や識者の分析でいわれるのが
マインドコントロールです。

 宗教はその人人の心の問題を
信仰によって解決するといいますが
マインドコントロールされると
救世主メシアといわれる教祖の仰せを
信じて生きることが救いとなることで
一旦その宗教に入信すると脱退することは
極めて難しいと言われます。

 私たちがご縁をいただく浄土真宗も宗教です。
皆さんは浄土真宗の門徒信者です。
 今日も南無阿弥陀仏と何度も
お念仏申させていただきましたが
浄土真宗は「念仏一つで救われる」宗教です。

 いつでもどこでもどんなことがあっても
南無阿弥陀仏のおはたらき一つで
摂め取って捨てないという
阿弥陀仏の仰せに順いまかせることで
救われるというのです。

 今問題になっている宗教団体は
あなたの家族がこんなひどい目に遭っているのは
先祖の供養ができていないことで
先祖の霊が迷い祟っているからですよと
言葉巧みに信じ込ませ
寄付献金を迫るといいます。

 傍から見ると
えっ何でどうしてと分からないことだらけで
何でこんな宗教に騙されるのかと思うようなことですが
信者にとってはそれが救いと信じて疑わないのです。

 オウム真理教の一件も然りで
宗教は恐いといった感覚を一般的に助長させることですが
仏教も説き方次第では人びとを恐怖に陥れ
誤った救いを説くことにもなるのです。

 仏教の救いは私の苦悩の原因が
わが身の煩悩にあると明かし知らせて
煩悩から解き放たれるところに
真の自由真の救いがあると教えます。

 阿弥陀仏の救いはそのままの救いですから
救いの条件は一切ありません。

 献金で救いがかなうというならば
献金できる人が救われて
できない人は救われないとでもいうのでしょうか。
 宗教の救いを世間のものの見方の延長上に説くことで
煩悩の身にも分かりやすく受け入れやすい論理です。

 阿弥陀さまはどんな人も分け隔てなく救うと
南無阿弥陀仏となって今こここの私におはたらきです。
 富める者も貧しき者もどんな人にも
「あなたの命そのまま引き受けた。まかせよ必ず救う」と
南無阿弥陀仏のお心を聞いてくれよ信じてくれよと
お念仏の声で喚んでくださっているのです。

 親鸞さまは法然さまから
「ただ念仏して弥陀にたすけられまいらすべし」と
「よき人の仰せをかぶりて」お聞かせにあずかり
「信ずるほかに別の子細なきなり」と
門弟たちに説いて行かれました。

 お念仏を申して今日の一日も
阿弥陀さまの大きなお慈悲の中に
共々に生かされて生きてまりましょう。

ご一緒に、お念仏申しましょう。(2022.7.15)


一緒に思ってくれてる人がいるお念仏のご縁の有難さです

2022-07-14
 コロナ感染者が急激に増えて
大分県は二日続けて過去最高を更新して
1100人を超える事態です。

 全国的な激増状況ですが
感染者数は増えても重症者は少ないということで
外出制限まではしないという政府の方針です。

 ただコロナに感染すると
周りの濃厚接触者を含めて生活制限が出てきます。
 目立った症状がなくても
一定期間家庭内隔離の状態で
外出はもとより家族との接触も仕事もできず
日常生活がままならなくなります。

 昨日の夕方電話がありました。
コンパルホールで毎月開いている法話会の
お世話をしてくださっている方からでした。

 感染状況が心配ななかで
これまでも何度か電話がありましたが
「ご院家さんどうされますか?」と聞かれました。

 一週間後に7月の法話会を予定していて
メンバーには既にご案内しているのですが
法話会をしますかしませんかという相談です。

 私もどうしたものかと思っていましたが
有難いですね。
 私と同じ思いで
心配してくださる方がいるということです。

 私たちのお念仏のご縁は
私たちがつくっていくご縁ではありません。
 仏さまからいただくご縁ですが
私がじっとしていてできるものではなく
私たち一人一人が思いをもって
それぞれの役割をさせていただくなかに
できるご縁です。

 皆さんが思ってくださる
それぞれの思いを寄せてくださり
お念仏のご縁ができるのです。

 私たちのそれぞれの思いの大本は
南無阿弥陀仏の仏さまです。
 阿弥陀さまのお念仏のおはたらきがあって
今日もこうして皆さんとご一緒にお朝事のお勤めができて
日々の生活をさせていただく大きな安心です。

 私たちの日々の生活を振り返ると
私が私がと一人で頑張っているところがありませんか。
 しんどいですね。
何か自分一人でと思うと不安になることもあります。

 一人で頑張っているといって
全て一人でできることは何一つありません。
 自分ができることって
ほんのわずかな少しのことです。

 一人一人の小さな思いを少しずつ寄せて集めて
お念仏のご縁ができるのです。

 「われにまかせよ」と
阿弥陀さまが喚んでくださるご縁です。
 「ここに座れ」と阿弥陀さまの御仏前に座らせていただき
お念仏申して今日一日も
私にできる精いっぱいのことをさせていただきましょう。

ご一緒に、お念仏申しましょう。(2022.7.14)


初盆会のご案内

2022-07-13
玄関のお花たち(2022.7.13.18:00)
 この数日前から大分合同新聞の社会面の広告欄に
<初盆会のご案内>が目立つようになりました。

 大方大きな会社組織の関係者の初盆会で
二通りのご案内に分かれます。

 一つは何日の何時から何時までと時間設定し
場所はほぼ葬儀社での初盆会に
お参りしてくださいというご案内です。

 もう一つは初盆会は家族だけでしますので
自宅へのお参りはご遠慮くださいといったもので
両方とも御仏前や供花を辞退される文面です。

 丁寧なご案内のようですが
昔からの初盆会の習わしを思うとき
何か寂しい感じもいたします。

 初盆会は先に往かれた方の初めてのお盆のご縁で
8月13日14日15日の三日間
家族親族縁者がお仏壇のある仏間で一堂に会し
故人を偲ぶ仏さまのご縁です。

 今は車社会で駐車場がないとか
いつ誰がお参りされるかどうかわからないなかで
三日間ずっと家を空けられないということは
本当に大変です。

 そうしたことが煩わしいという見方もありますが
有縁の方がお参りされて故人の思い出話に花が咲き
人と人とがつながりがまた広がります。

 先に往かれた方を偲ぶ人人の情です。
そうした人人の思いを寄せ合えるご縁で
あってほしいと思います。

 昨日は安倍元首相の葬儀が東京の増上寺であって
たくさんの一般の方々がお参りされ
また沿道で見送っていました。

 安倍さんに直接関係があった方ではありません。
ただお礼を表したかったという思いで
暑い中を遠方からも駆けつけられたということです。

 人人の情です、思いです。
何か閉塞したギスギスした今の社会にあって
人と人とが思いを寄せ合いつながって
乾いた空気を潤わせてくれるようにも感じます。

 このお朝事のご縁もそうです。
皆さんそれぞれに思いをはこんでくださって
お念仏申して円光寺の朝
今日の一日を始めさせていただきます。

 お参りしないといけないのではありません。
お参りしようと思うなかに
お朝事のご縁が開かれるのです。
 どうぞご縁ご縁にこれからもご一緒に
お参りさせていただきましょう。

ご一緒に、お念仏申しましょう。(2022.7.13)


この社会の閉塞感

2022-07-12
 参議院選挙が終わって
安倍元首相の銃撃事件の詳細が報道されています。

 母親が入信した宗教団体に恨みがあって
その団体と関わりが深いと思った安倍さんを殺そうと
狙っていたという供述です。

 昨日は宗教団体の代表が会見を行いました。
確かにお母さんが信者で家庭が破綻状態にあったことも
知っていたということですが
20年以上も前のことで
最近は月に一度ほど関連施設に
お参りしていたといいます。

 容疑者と宗教団体の間にまた安倍さんとの関係で
これまで実際にトラブルがあったかはわかりませんが
容疑者の一方的な思い込みのようにも思われます。

 今はネット社会にあって
SNSで大量の情報が飛び交う中に
私たちは日暮らししています。
 何が本当かか嘘か分からないままに
いろんな方が様々な見方で意見を発信します。
 自分の思いに沿う意見に聞き入り
思い込むことになる危うさです。

 母親が多額の献金をして家庭が破綻し
今もこんなに酷い目に遭っているのは
その宗教団体のせいであり関係のある安倍さんを殺すといった
自分勝手な論理で決して許せることではありませんが
今の世相を反映している事件に思えます。

 容疑者の生活ぶりはどんなものだったのでしょうか。
この同じ社会時代に生きて
どういう人間関係があったのでしょうか。

 アパートの一室に閉じこもって
ひたすらパソコンスマホに向き合い
通販で物品を取り寄せては
人を殺すために拳銃を作っていたという生活です。

 そこに他の人とのつながりはあったのでしょうか。
人と話をすることがあったのでしょうか。
 周囲の関係を断って孤立した
孤独な生活ぶりを想像します。

 孤独な生活は容疑者の彼だけのことではなく
私たちのすぐ周りにもあったりして
私自身もその一人なのかもわかりません。

 自分中心の思いはからいが
私たちを苦しめ迷わせているとみ教えに聞きます。
 広く宗教の救いは
小さな世界に閉じこもって生きる私を
広い世界に解き放つことにあると教えます。

 仏法に遇うことの有難さです。
仏法に生きる人に遇うことです。

 阿弥陀さまの「まかせよ救う」のお喚び声
南無阿弥陀仏のおはたらきに遇って
お念仏申して阿弥陀さまの大きな広い世界に
生きて往けるのです。

 いつも阿弥陀さまがご一緒です。
お念仏申して阿弥陀さまのお慈悲の中に生かされて
共に生きる人がいます。
 南無阿弥陀仏の大きないのちのつながりのなかに
私たちは共々に生かされて生きているのです。

 容疑者は安倍さんの人なりを
どのように思っていたのでしょうか。
 私もそうですが
実際に会っていないのでわかりません。

 国のリーダーたる政治家の安倍さんは
敵味方をハッキリさせた論戦で近寄りがたい印象でしたが
実際に会って話をした人は話題も豊富で面白く
気さくでフレンドリーな方だといいます。

 入り乱れた雑多な情報だけに思い込むのではなく
人として触れ合うことがあればと思います。

 宗教がらみの事件になって
このお寺も仏教の宗教施設ということで
同じ現代社会に生きる者として
またお寺の住職として
今回のことを深く見つめていきたいと思います。

ご一緒に、お念仏申しましょう。(2022.7.12)


クーラーの入った仏間で仏さまのご縁をご一緒します

2022-07-11
 昨日お参りに行ったお家で
お茶をいただきながら
「初めてクーラーを入れました」と言われました。

 連日の猛暑ですから
クーラーがあるとお勤めする私も助かります。

 今度初盆を迎えるお家で
よく話を聞いてみると
仏間にはこれまでクーラーの設備がなくて
初盆のご縁にクーラーを設営して
今日初めて使ったということでした。

 昔のお家の造りで
仏間が二間にわたって結構広く
クーラーは通常より大きなものになります。

 アパートマンションや今のお家の造りは
仏間という特別な部屋はありませんが
皆さんのお家の仏間は
日頃は滅多に使わない部屋になっていないでしょうか。

 コロナ以前からも親戚縁者のお客さんが
お家に来られることが少なくなりましたが
お仏壇をご安置する仏間ということで
お坊さんは必ず仏間に通されます。

 お家の方が日頃使われるのは
居間や台所そして個人の部屋です。
 自分たちの使う部屋にはクーラーは真っ先に入りますが
日頃使わない仏間にはクーラーを入れるという
発想自体がないのではありませんか。

 大切なお方とお別れする悲しいご縁で
仏間を使うことが多くなります。
 お坊さんは勿論ですが
家族も親族も仏間にお参りします。
 そこで初めて気がつくのですね。
暑さを体感してクーラーが入るのです。

 仏さまのご縁で
仏間にクーラーが入ります。
 先に往かれた仏さまが家族親族有縁の方々を
仏間に座らせてくださるご縁なのです。

 今はコロナ禍で法事のあり方も随分変わりました。
人数が多ければいいという話ではありませんが
家族だけの少人数の法事が多くなりました。

 以前のご法事を思い出します。
20人30人といった法事もあって
外食でお斎を出すところが一般的でした。

 親族有縁の方同士ですが
親戚が集まる機会が少ないなかに久しぶりに会う方もいたり
親の代理で子どもが参って初めて会う方もいたりして
「元気やったかえ」「あんたと親戚になるの」などと
声が聞かれたものです。

 人と人とのつながりです。
先に往かれた方がつくってくださったご縁です。
 生きている私たちだけではなく
人の命終えて先に往かれた方は今は仏さまとなって
私たちと共に生きてくださってあるということです。

 初盆に親族有縁の方々がお参りされて
先に往かれたお母さんが入れてくださった
クーラーの効いた仏間でご一緒して
お念仏申す身にさせていただく
仏さまのご縁が楽しみです。

ご一緒に、お念仏申しましょう。(2022.7.11)


円光寺
〒870-0108
大分県大分市三佐3丁目15番18号
TEL.097-527-6916
FAX.097-527-6949
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