樹木希林さん
2018-09-18
俳優の樹木希林さんが亡くなって新聞テレビ等でその人となりが報道されています。
75歳ということですが、若い時分からまずテレビで、演じる役は30歳も40歳も年上のおばあちゃん役ということで
独特なキャラクターと共にそのイメージがずっと残っています。
最近は映画に多く出演し実年齢なりの役柄で存在感を放っていました。
又テレビのバラエティ番組によく出演されていました。
60歳を過ぎて病気にあわれ左目を失明、乳がんになって全摘手術を受け4年前には全身がんを公表されました。
俳優という夢を与える仕事柄、私生活を公表しない俳優さんが多いのですが、樹木さんは違いました。
私生活を明かすなかで老いに向き合い病に向き合い死に向き合う姿をメッセージとともに私たちに伝えてくださいました。
こんなことを言っている私は樹木さんに会ったこともないしその人となりに日々接しているわけではありませんが
これがテレビの力ですね。テレビを通じて全国の人人にいのちの大切さと教えてくださったような気がします。
「生も日常、死も日常」ということを言っていました。
私たちが生きているこの日常です。
朝起きて食事をし職場に行って働き家に帰って食事をし一日を終えるというそれぞれの日常です。生の日常です。
ところが死も日常というんです。
生死一如という仏教の極意、基本的な教えです。
仏教のものの見方は生と死を分けて見ません。
生死を分別すると私たちは死を遠ざけ生きることばかりにとらわれはからってしまいます。
ところがありのままのいのちということでいいますと、生死のいのちなのです。
今生きている私もいつどのように死を迎えるかわかりません。次の瞬間かもしれません。
今すぐにでも死の縁無量なのです。まさに生きるということは死ぬことであるという教えです。
インタビュアーの方が「がんになって大変じゃないんですか」と尋ねたとき
「覚悟を決めたらそんなに大変なことじゃないよ」とこたえていました。
逆に病気になることによって見えてくることがあるとも言ってました。
がんになってよかったとまで言いましたね。
これは一人一人の思いですから、そのことを人に押し付けることではありません。
人それぞれに人生いろいろあるけれども、それこそそれなりに生きてそれなりに死んでいくんでしょうねと。
仏教浄土真宗のみ教えに聞かせていただきますと、死んだらお終いではない、人の命は終えていきますが
そのままお浄土の仏さまのいのちと成って私たちにまた大切なことを教えてくださるのです。
樹木さんは死という人生の最終章を演じ私たちにいのちのあり方を教えてくださったと仏さまの教えに重ねて思います。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2018.9.18)
