本文へ移動

お念仏を申す生活法話

「早く戦争が終わってほしい」と世界の祈り

2022-03-04
 浄土真宗は「祈りなき宗教」といわれ
宗教一般でいう「祈る」ということを言いません。

 阿弥陀如来の本願力回向の教えの特徴ですが
私が仏に祈願請求するのではないのです。
 私の願いを神仏といった絶対者に託して
神仏の力で私の願いを成就してもらおうと祈るのです。

 浄土真宗は阿弥陀仏の本願を主とした教えで
この私を必ず救うと本願成就された
南無阿弥陀仏の名号のいわれを
聞かせていただくことが要です。

 私が仏に祈る願うのではなく
阿弥陀仏から願われている私なのです。

 今回ロシアのウクライナ侵攻の戦争の事態に
私に一体何ができるだろうかと思ったとき
「戦争が一刻も早く終わってほしい」と祈る私がいます。

 親鸞聖人もご生涯のなかで
そうした局面にあわれたことを述懐しています。

 念仏禁制で越後に遠流され赦免されて
関東に赴く旅の途中で
鎌倉時代で土地を支配する武士や地主の圧政と
毎年のように起こる天変地異で食べ物がなく
苦しい生活を強いられる人々をみて
親鸞さまは衆生利益のために「浄土三部経」を
一千部読もうと思い立たれたのです。

 しばらくしてこれは阿弥陀さまのご本意ではないと
思い直して中止したということですが
今回のウクライナのことで何もできない私は
ただただ戦争を止めてほしいと祈らずにはおれません。

 テレビの情報番組もウクライナのことばかりで
コメンテーターの意見も日に日に先鋭化して
昨日はロシアの侵攻戦争を止めるには
プーチン暗殺しかないとまで堂々と言い出す人がいて
何とかこの惨状を回避してほしいという気持ちは
わかっても共有できません。

 今はロシア以外の世界中のメディアが
プーチンが悪いロシアが悪いといった論調ばかりです。

 誰が善い悪いといって
その人の置かれている立場でものの見方は全く違うし
緊急の問題は戦争を止めてほしいということばかりです。

 ウクライナの方はこう言ってます。
今度はじめて世界がウクライナの方を向いてくれて
支援してくれるけれども
以前から特にクリミア併合からは
ウクライナとロシアは一触即発の関係で
今回の事態もいつ起こってもおかしくないことだったと
そのことを世界に訴えてきたけれども
これまでは何も取り合ってくれなかったと。

 プーチンさんにしても
世界の首脳たちにウクライナのことを言ってきたが
誰も何も取り合ってくれなくて今回の事態になったと
言うのです。

 連日テレビの情報番組は
専門家をゲストにコメンテーターの意見も添えて
ああやこうやと言ってることを
気楽に観ている私がいます。

 プーチンさんが核兵器使用を言いだしたら
日本も核兵器を共有するという話になってきています。
 この緊急時にどさくさに紛れて
極端な論理が先行する怖ささえ感じます。

 今ネットやSNS上で
ロシアは本当に悪い国でロシア人は悪い人だという
ヘイト差別偏見がたくさん上がっているといいます。

 立場を変えて見ましょう。
とんでもない本当にいわれのないことが
私たちの身近な生活の中で起こっています。

 みんなどの国の人も
一人一人それぞれ思いをもって生きています。
 そういうなかに「さるべき業縁のもよほさば
いかなるふるまひもすべし」と
縁がそろえば何をしでかすかわからない
私がいるということでしょう。

 仏法をもってしてもお念仏申しても
この事態を収束することは難中の難です。
 お釈迦さまがこの世に現れて
解決してくれることでもありません。

 今を自己中心に生きる私たちが
積み重ねてきた罪悪深重の業であり
解決は私たちに課せられています。

 今は「一刻も早く戦争が終わってほしい」と
祈り強く念うばかりです。

ご一緒に、お念仏申しましょう。(2022.3.4)


円光寺
〒870-0108
大分県大分市三佐3丁目15番18号
TEL.097-527-6916
FAX.097-527-6949
0
7
2
5
4
0
TOPへ戻る