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お念仏を申す生活法話

アフガニスタンと仏教

2021-08-24
 今アフガニスタン情勢が
世界の注目を集めています。

 20年前にアメリカでイスラム過激派組織
アルカイダによる同時多発テロがおこり
アフガニスタンにアルカイダを匿っている疑いで
アメリカが一方的に戦争を仕掛けて
時のタリバン政権が崩壊しました。

 以来親米政権が樹立され国家運営していましたが
20年が経ち頼りの米軍が撤退するに至り
再びタリバンがアフガニスタンを
統治することになったのです。

 前政権の時にタリバンはイスラム法に則り
市民に過激な原理主義を強制し
背く者は公開処刑などして恐怖心を煽り
特に女性は外出や教育を受ける権利を奪われ
人々は恐怖におびえているといいます。

 私たち仏教徒がタリバンに関心をもったのは
バーミヤンの大石窟の仏教遺跡を爆破したことです。
 偶像崇拝を禁ずるイスラム教だからという理由ですが
イスラム教と仏教は違いますからね
何とも不条理で身勝手な解釈に驚いたものです。

 シルクロードの絵画で有名な平山郁夫画伯を中心に
その後バーミアンの復興がなされていますが
アフガニスタンという国はアメリカからいうと
何の利権もない不毛の地ということだそうです。

 石油が出るわけでもなく天然ガスや鉱山などの
資源に乏しい広大な砂漠と山岳地帯の国です。
 福岡の中村哲さんがアフガニスタンで灌がい工事に尽力し
砂漠が緑の大地になって作物ができるようになりましたが
中村哲さんもタリバンとの紛争の渦中で命を落とされます。

 ただ仏教にとってはアフガニスタンは大変重要な国です。
バーミヤンの遺跡をはじめ仏教文化が花開いた土地なのです。

 仏教はお釈迦さまによってインドの国で始まり
中国で大成します。
 インドから中国に行くのに険しいヒマラヤ山脈を
越えて行くことはまずできません。
 シルクロードの道を通って行くのです。
インドからパキスタンそしてアフガニスタンを通って
トルコからヒマラヤの北側を回り込むように
中国に入っていくのです。

 インドからお釈迦さまの説かれた経典が
中国に伝えられて漢訳されたものが
私たちは目にするお経さまなのです。

 アフガニスタンには資源も何もない
自国の利益にならない国を守るために
アメリカが軍を派遣し自国民を死なせることは
到底理に合わないと軍を撤退させるのです。

 でも待てよ!
最初に一方的に戦争を仕掛けたのはアメリカですよ。
その前にアフガニスタンに軍事侵攻したのがソビエト
今のロシアですよ。

 そうした大国の論理です。
大国の身勝手な論理で中近東の歴史は
ずっと混乱と迷走不安定な中にあり
そこに人々が生きているのです。

 結局はそこに住んでいる人がひどい目に遭うのです。
元々そこに住んでいた人たちが
故郷を追われ家族を引き裂かれていくのです。

 そういうなかにあってイスラム教キリスト教仏教の
世界の三大宗教です。

 宗教とは私が宗とする教えであり
自分の都合の良いように解釈する教えではありません。
 教えはそのまんま聞いて教えです。
そこに人間のはからいが入ると
教えそのものが捻じ曲げられるのです。

 何か大きな話をしているようですが
私たちの日々の生活の中にも
そういうことってありませんか。

 自分の都合に合わせて仏さまはこう言っていると
自分を正当化するものの見方で
相手を懲らしめたり傷つけていませんか。

 仏さまのみ教えに聞かせていただきましょう。
本願を信じ念仏申さば仏に成るこの道を往けと
お釈迦さまが背中を押してくださり
一心正念にこの道を来いと阿弥陀さまが
南無阿弥陀仏と喚んでくださるお念仏の道です。

 御仏前に座してそのまま謙虚に
仏さまのみ教えに耳を傾けてまいりましょう。

ご一緒に、お念仏申しましょう。(2021.8.24)


円光寺
〒870-0108
大分県大分市三佐3丁目15番18号
TEL.097-527-6916
FAX.097-527-6949
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