「往生際が悪い」って何だ!
2020-11-08
アメリカの大統領選挙がまだ決着がつかないなかで
テレビの情報番組で一日中選挙の話でもちきりです。
いろんなコメンテーターが出演して
自分なりの意見を言っています。
選挙前からどちらが勝つか自分なりの予想です。
圧倒的に民主党のバイデンさんでした。
開票後トランプさんの優勢が伝えられると
バイデン勝利を声高に予想したコメンテーターが
頭を抱え込むように声が小さくなり
一方前回4年前の選挙でトランプ勝利を的中させ
今回も圧倒的な逆風の中トランプ勝利を予想した
大物コメンテーターが周囲から急に持ち上げられ
これ見たことかと鼻高々でした。
ところが次の日になるとバイデンさんの票が伸びて
形勢が逆転したのです。
面白かったのはコメンテーター同士の言い争いです。
大勢のバイデン派が畳みかけるように攻勢に転じます。
形勢が悪い中で一方的に勝利宣言をし
自分に不利な選挙区には不正があった裁判に訴えると
会見しツイートを続けるトランプさんに対して
「往生際が悪い」と発言したのです。
これに早速トランプ派の大物が
「元々アメリカ人は往生際が悪いのだ」
と言い返したのです。
往生際が悪いどうこうとの言い合いです。
他国の選挙の自分の勝手な予想です。
最後に得票を集計して多い方が勝つのが選挙であり
予想の当り外れは選挙には何の意味をもたないのです。
「往生際が悪い」とは一体誰のことなのでしょうか。
ただ往生際が悪いと聞いてちょっと見過ごせません。
往生という言葉は浄土真宗のご法義で大切だからです。
往生浄土は他力本願、悪人正機とならぶ
ご法義の三本柱の一つです。
阿弥陀さまのご本願のおはたらきでどんな人も
阿弥陀さまの浄土に往き生まれて仏に成る教えが
浄土真宗なのです。
往生という言葉は日頃あまり使いませんが
往生したというと困った死んだという意味です。
往生際が悪いと今回使ったのは
開票が進んでもう勝つ見込みがないのに
あきらめが悪いばかりか悪あがきをする
今のトランプさんの言動についてのことでしょう。
仏法でいえば私たちの苦悩の原因の我執です。
自分の思いはからいに固執するということでです。
私が私がというはからいにとらわれて
仏法を素直に聞くことができず
阿弥陀さまの救いの法を疑って
南無阿弥陀仏にまかせることができないのです。
私たちは我執にとらわれてあきらめが悪いのです。
諦めとは本来明らかに見るという意味で
仏さまの智慧のことです。
仏さまから見ると明らかにものごとを見る智慧がない
往生際が悪いこの私なのです。
往生際が悪い私だからこそ阿弥陀さまは
南無阿弥陀仏のお喚び声となっておはたらきです。
煩悩を抱えて苦悩に生きる私を見抜かれて
阿弥陀仏さまは放っておけず摂取の光明のなかに
そのまま救いとってくださるのです。
生きとし生けるすべてのものを
必ず救うとおはたらきです。
選挙に勝った者も負けた者もです。
予想が当たった者も外れた者もです。
すべてのものを分け隔てなく救う
南無阿弥陀仏のみ教えを共に聞かせていただきましょう。
ご一緒に、お念仏申しましょう。(2020.11.8)
